北朝鮮は制裁下でもインフレになっていない

4年滞在したスイス援助機関職員がみた現実

フィスラー:北朝鮮で必要とされていることは、政府が軍事に費やしているよりもはるかに大きい。外国貿易は試算をする主体によって違いますが、現在、30億ドルから60億ドルと推定されています。80%から90%が中国との貿易です。おそらく2017年は減少したでしょう。しかし、50億ドル程度に違いありません。

しかしながら、韓国の年間軍事費は350億ドルです。韓国の軍事費だけをとっても、北朝鮮の年間貿易額の7倍の大きさになるのです。

また、私がたまたま知った別の統計ですが、スイスの毎日の外国貿易は20億ドルになります。一方、北朝鮮の年間の貿易量が50億ドルです。このことは留意しておく必要があります。

当記事は、NKニュースからの翻訳記事です

NKニュース:しかし、北朝鮮国民が自力で生きていかなくてはいけないような状況に置かれているのであれば、北朝鮮政府は最も貧しい人々に対してより責任を負うべきではないでしょうか。

フィスラー:業務レベルでは、政府は面倒が見られる範囲で、国民の面倒を見ていると思います。彼らは単にそれ以上できないのです。

もし核プログラムへの支出を全部取りやめ、経済につぎ込むとしても、2500万人の国民の基本的ニーズを満足させるのには、はるかに不十分でしょう。

北朝鮮の地方での貯水槽建設作業(写真:フィスラー氏提供)

私は核計画をめぐる具体的な数字を知りません。誰もわからないでしょう。でも、せいぜい数億ドル程度にとどまるでしょう。間違いなく10億ドル以下です。私は2億ドル程度とみています。

北朝鮮には約100万人の兵士がいます。彼らは職業軍人です。しかし、彼らは自らを養うことができます。その意味では、彼らのコストはゼロです。

ですので、北朝鮮政府は100万の軍隊にもっと支出し、面倒をみろとは言えません。彼らはインフラをつくるなど、労働力です。経済の一部なのです。

経済の正確な分析は難しい

NKニュース:そうしますと、あなたはたったの2億ドルが核開発に使われ、一部のアナリストが指摘しているように、軍事にはそんなに使われていないとみているのですね。

フィスラー:繰り返しになりますが、これは個人的な見解です。どのようにして実際の数字を知ることができるでしょうか。平壌にいる誰もが、そのような数字をあなたに与えることはできないでしょう。いずれにせよ、これらの数字は試算することがとても難しい。

教育セクターや公衆衛生セクターへの予算が実際にいくらかは言うことはできません。なぜなら、職員の給与をどのように考慮すればよいのかわからないからです。彼らは基本的にPDSで給与を支払われています。

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