生活道路が突然閉鎖される「私道」のリスク 京都市ではなぜ法廷闘争が起きているのか

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まず道路に関するルールを確認しよう。ある土地に建物を建てるためには原則として、幅4メートル以上の「公道」に2メートル以上接している必要がある。「公道」とは国道や都道府県道区町村道などを指す。しかし実際には公道に面さない土地も多い。そこで私有地を道路として扱い、建物を建てられるようにする取り決めが「位置指定道路」の制度だ。つまり、位置指定道路は、一見誰でも利用できる道路に見えても、あくまで個人が所有するもの。そこでの基本的な取り決めは所有者や周辺住民などの利害関係者で行うことになる。

位置指定道路に接してさえいれば、その土地は建物を建設することが可能だ。しかし、たとえば道路が陥没するなどすれば私道の所有者が修繕する必要があるし、私道に配管を通したい場合には所有者の許可がいる。配管を交換するために道路を掘削する場合なども同様である。

そこで、不動産取引の慣行としては、そうした事態に陥っても問題が起きないよう、所有者などの利害関係者間で「覚書」などの書面を交わし、道路利用に支障が出ないようにしておくのが常識だ。

この「覚書」がない場合…

ところが今回の京都のケースでは、問題となっている道路が位置指定道路として指定されたのは1969年と50年近くも前のことであり、学園側はもちろん周辺住人も、覚書なども保管していないようである。紛失してしまったのかもしれないし、当事者同士の信頼からそもそも覚書を交わさなかったのかもしれない。

役所にも当時の書面は残っていない可能性が高い。こうなると、私道の所有者である学園側から位置指定道路の取り消し依頼があれば、役所としては手続きするほかはない。

このような位置指定道路が全国にどの程度あるのかはデータがなく判然としないが、相当数存在することは不動産に明るい業界の人間なら誰でも知っている。典型的なのはいわゆる「ミニ開発」と呼ばれるもので、ある程度まとまった土地の中に行き止まりの私道を通し、その両脇に数棟の建物を建てるケースだ。この私道は、所有者に按分して割り当てられる。

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