生活道路が突然閉鎖される「私道」のリスク

京都市ではなぜ法廷闘争が起きているのか

かつては私道を人数分に区切って配分するやり方が主流だったが、昨今では私道全体を所有者全員の共有持分とすることが多い。6人で所有するなら私道全体を6分の1ずつ保有する。この私道を自治体に位置指定道路として認定してもらい、建物を建てるわけだ。

私道の扱いについては十分な注意が必要

しかし、あくまでこの道路は私道にすぎない。したがって、のちになってトラブルが起きないよう前述したとおりに覚書を交わし、大事に保管しておくことが必須だ。また覚書には、たとえ所有者が変わっても、このことを引き継ぐ旨記載するべきだろう。ところが、覚書を紛失する、次の所有者に引き継ぐことを忘れる、悪意を持って所有者が私道を専有するなどのトラブルは、日本全国のあちこちで起きており、私道の扱いについては十分な注意が必要なのだ。

今回の京都のケースでは前述したとおり、あまりにも昔のことであり、学園側にも所有者にも位置指定道路と取り決めた際の当事者はいないのかもしれないし、あるいは覚書を紛失したか、そもそも覚書すらないのかもしれない。いずれにせよこうなると、行政手続きに不備なく位置指定道路は解除され、生活に支障は出るし、道路の利用や掘削ができないのはもちろん、建物の建て替えも不可能となる。そうなると、その土地の資産価値大幅下落は必至だ。

自身が保有している土地が面しているのは公道なのか私道なのか。私道なら位置指定道路なのか。その覚書はあるかなどを、必ず確認しよう。登記上の地目がたとえ「公衆用道路」となっていても、こうした確認は必要だ。また、裁判例(東京地判 平25・8・9)では、私道の利用状況等によっては、通行を妨害する私道所有者に妨害行為の排除を求める権利(人格権的権利)が認められなかった事例がある。

今回の京都市の件では、長年周辺住民に使用されていたことが重視されれば、結論が変わってくる可能性もあるだろう。ただ、私道はあくまで利害関係者間の自治で取り扱うものだ。その扱いについては専門家とよく相談のうえ判断しなければ、思わぬ爆弾を抱えることになりかねない。

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