ナイトタイムエコノミーって何だろう? 観光資源化する「東京の夜」
また、2016年6月に改正風営法が施行されたことも、夜の時間帯に注目が集まったきっかけのひとつだ。
法改正のために注力し、エンターテインメント分野の法律にも詳しい齋藤貴弘弁護士は、「風営法改正に至った大きなきっかけは、5年ほど前に大阪や京都で行われたクラブの摘発です。 周辺住民に迷惑をかけることなく営業していた店であっても、深夜に”ダンス”させていたことを理由に起訴されるという、到底納得できないものだった。それに反対したミュージシャンやDJたちが署名活動を始めて、議員連盟が発足し、法改正するに至った」と、その経緯を話す。
今回、改正されたもっとも大きなポイントは、「音楽に合わせてダンスを楽しむクラブの営業時間が原則午前0時までとされていたものが、照明の明るさなど一定の条件を満たせば、特定遊興飲食店として朝まで営業できるようになったところだ。この規制緩和によって、夜に営業するお店が解放され、個性的で特色を持つ店舗も運営しやすくなる。実際、大手企業も参入し始めている」(齋藤氏)という。
自民党の議連でも活発に議論
ただ、夜の時間帯を活性化するためには今回の法改正だけでは足りず、齋藤弁護士がアドバイザリーボード会議メンバーを務める自由民主党時間市場創出推進(ナイトタイムエコノミー)議員連盟では、情報発信や観光案内、夜間GDPの算出方法などについて、活発に意見交換が行われている。
昨年末に行われた同議連の会議では、日本観光振興協会の久保成人理事長が「2017年の訪日外国人数は過去最多を記録したものの、政府は2020年までに、昨年の倍近い4000万人、2030年には6000万人へと拡大させる計画だ。最近の訪日外国人は、爆買いではなく、”日本人が普通に楽しんでいるものを体験したい”という希望が強くなっている。実際に、新橋では、サラリーマンたちでにぎわう居酒屋をはしごする外国人向けのツアーが大好評だと聞く」と話し、今ある観光資源を活かしつつ、観光客により楽しんでもらえるよう、日本の夜の文化を進化させていく必要性を訴えた。この議連で取りまとめられた提言は、近く安倍総理に直接手渡される予定となっている。
また、観光庁も「『楽しい国 日本』の実現に向けた観光資源活性化に関する検討会議」をスタートさせた。
モノ消費からコト消費に移行している訪日外国人へ、より質の高い”コト”を提供することで、現在、旅行消費額のたった3%程度しかない娯楽費を向上させたい。同時に、働き方改革によって国内でも仕事が終わった後に、コンサートなど文化を楽しめる街づくりを、都市だけではなく日本をあげて進めていきたい。そのために、日本でしかできない独自性のあるナイトタイムエコノミーを提供する必要がある――として、ソフトだけではなく、 公園や橋梁など公共の施設、歴史的建造物を使ったイべントなど、ハード面からバックアップする方法も検討されている。
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