消費増税でまた混乱 法人減税強行の内幕 消費増税決断も、なぜか減税メニューが急浮上

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10月1日に、来年4月の消費税率8%へ、3%の引き上げ実施を表明する見通しの安倍晋三首相。夏から判断先送りを続けてきた首相だが、消費増税の意思を固めるや、今度は法人減税の同時実施を強く主張し始めた。

焦点となっているのは、東日本大震災の復興財源として法人税に上乗せしている「復興特別法人税」の1年前倒し廃止と、法人税の実効税率引き下げ。後者は麻生太郎財務相や与党内から慎重論が出て中期的課題の位置づけに後退したが、消費増税に備えた5兆円規模の経済対策の一環として、復興特別法人税の廃止は是が非でも来春に実施しようというのが安倍首相の姿勢だ。

トータルでは減税ばかり

「日本は戦後、一度も増税をしたことがない」。ある財務官僚は自嘲ぎみに話す。

1989年の消費税創設と、97年の3%から5%への消費税率の引き上げ。その本来の目的は将来の高齢化社会に備えることだった。しかし、当時は個人所得税や法人税などの直接税から、より税収の安定した間接税(消費税)に税体系をシフトさせるという「直間比率の見直し」の側面が強調され、消費税反対の世論大合唱に押される形で、時の政権は個人所得税や法人税の大型減税の同時実施に追い込まれた。トータルでは兆円単位の減税となり(表)、高齢化社会に備える財政基盤作りは進展しなかった。

酒税など個別の小さな増税を除けば、消費税が絡む過去の抜本税制改革はすべて“減税”だった。これが今に続く財務省全体の共通認識だ。

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