九州の災害路線復旧は「三陸」方式にならえ 日田彦山線、費用面で再開めど立たず

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2017年7月のJR九州の発表によると、日田彦山線田川後藤寺―添田―夜明間の1日あたりの平均通過人員は、2016年度で299人にすぎなかった。これは利用者1000人未満とされた全13区間のうちでは、5番目に低い数字だった。「(復旧費用を)投資しても回収の見込みなし」と判断されるのも、仕方がないところである。

日田彦山線の列車代行バスは、大型マイクロバスが多く使われている(筆者撮影)

現在、同線の列車代行バスは、一部の便で通常の路線バスタイプが使われているものの、大半は大型マイクロバスでの運行である。つまり、もともとさほどの利用がない区間なのだ。

JR九州の青柳俊彦社長は、日田彦山線などの被災直後に発表されたこの数字について、「鉄道を廃止するために出したものではない。九州の鉄道の状況を正しく認識してもらうためである」とした。だが他方、「(地元自治体などが鉄道施設を取得して)上下分離方式を採用することも、今後、発生するかもしれない」とも述べている。

復旧には三陸の各線が前例に

日田彦山線大行司駅付近の土砂崩落現場。これによって趣のある木造駅舎が破壊された(筆者撮影)

日田彦山線を再生するとすれば、やはり自然災害からの復旧を目指す三陸の各路線や、JR東日本の只見線などが、前例となることであろう。黒字の鉄道会社であっても災害からの復旧費用補助を可能とする、改正鉄道軌道整備法が成立すれば、同法の適用も視野に入ってくる。

解決策としては、復旧費用はJR九州が負担するものの、完成後の線路や駅などの設備は福岡県、大分県など地元自治体へ譲渡し、上下分離方式を導入することがやはり現実的と見られる。その際、JR東日本、山田線宮古―釜石間の運行を担う三陸鉄道のように、列車の運行を第三セクターへ移管することが、復旧費用拠出を受け入れやすくする条件と思われる。

福岡県内の筑豊地区には、廃止対象となった国鉄伊田、田川、糸田線を引き受け、1989年に開業した第三セクター鉄道、平成筑豊鉄道がすでにある。先に1日平均通過人員が発表された区間は、田川後藤寺で糸田線と接続している。

不通区間と合わせ、田川後藤寺―夜明間は一括して地元自治体へ鉄道設備を譲渡。運行は平成筑豊鉄道が行う「JR山田線・三陸鉄道方式」が"落としどころ"としては妥当ではあるまいか。大分県や日田市も、平成筑豊鉄道に出資して株主となればいい。夜明―日田間はJR久大本線への乗り入れという形だ。

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