九州の災害路線復旧は「三陸」方式にならえ

日田彦山線、費用面で再開めど立たず

再建工事中の久大本線花月川橋梁(筆者撮影)

久大本線は光岡―日田間にある花月川を渡る橋梁が洪水により流出し、現在、同区間はバスによる代行輸送で結ばれている。日田彦山線は大行司駅構内の土砂崩れなど、63カ所も被災。もともと夜明から日田まで久大本線へ列車が乗り入れていたこともあって、添田―日田間で代行バスが運転されている。

被災前には博多から久留米・由布院経由、大分・別府まで観光特急「ゆふいんの森」と特急「ゆふ」が運転されていた。インバウンド客にも人気がある路線で、「ゆふいんの森」の車内は外国語で賑やかであった。

被災前は久大本線を走っていた「ななつ星in九州」(豊後森駅にて)(筆者撮影)

しかし花月川橋梁流出後は、「ゆふいんの森」は小倉・大分を大きく迂回する形で博多―由布院間、「ゆふ」は日田―大分・別府間と、それぞれ臨時ダイヤで運行し、由布院方面へのルートを確保している状況である。「ななつ星in九州」は、久大本線経由のルート自体を他の方面へと振り替えた。

前年の熊本地震では被害がなかったにもかかわらず、九州全体が敬遠されて観光客の減少が見られた湯布院エリアは2年続きの災厄であった。JR九州にとっても久大本線は収益上、重要な路線であることから、こちらは被災後すぐ復旧へと動きだし、橋梁の再建が進められている。

2018年1月現在では橋脚・橋台の新設工事が進捗中。4月以降、桁の架設、護岸整備などが行われ、7~9月頃までにはすべての作業が終わって、運転が再開される見込みである。おそらく、観光客数がピークを迎える夏休み前までの復旧が目指されることであろう。

日田彦山線は費用が足かせに

一方の日田彦山線は、土砂の流入、道床の流出などの被害に対し約70億円と見積もられる費用が足かせとなって、復旧工事が進んでいない。その負担について、JR九州は地元自治体との協議を申し入れているが、地元では「鉄道廃止が前提になるのではないか」という警戒感があって、まだ話し合いは進んでいない。

日田彦山線は、福岡県と大分県にまたがる鉄道。不通区間はちょうど県境部分にあたり、途中の宝珠山駅の構内に福岡県東峰村と大分県日田市の境界線が走っている。朝倉郡東峰村は人口2000人あまりしかない山間部の村で、地理的条件から、隣県にはなるが距離的に近い日田市の経済圏に含まれる。添田方面(田川郡)とのつながりは希薄だ。

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