九州の災害路線復旧は「三陸」方式にならえ 日田彦山線、費用面で再開めど立たず

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熊本地震で斜面崩壊など大きな被害を受けたJR豊肥本線と南阿蘇鉄道は、鉄道での運転再開が計画されている。ただ、被害の程度が大きく、時間がかかるのはやむを得ない。

阿蘇駅に到着した大分からの豊肥本線普通列車。ここから西が不通区間(筆者撮影)

豊肥本線には久大本線と同じような事情があり、JR九州が地域の復興と協同して、工事を進めている。肥後大津―立野間の運転を、まず2019年度前半に再開させる計画だ。

この地域の課題は、今にある。道路網も大きな被害を受けているため、完全な形での列車代行バスが運転できないのだ。

豊肥本線肥後大津―阿蘇―宮地間には、日曜・祝日を除いて、通学の高校生を主な対象とした代行バスが運転されている。けれども輸送力の問題があるのか、積極的なPRは行われていない。一般客の利用も可能だが、高校生の優先利用が要請されている。

不通区間の輸送を担っているのは事実上、一般の路線バスだ。災害前から走っている、九州産交バスの長距離路線が、内外からの観光客も引き受けている。しかし、久大本線と同じく、大分方面から臨時特急(「あそぼーい!」または「九州横断特急」)が運転されており、そちらの方がインバウンド客で賑わっている。

JR乗り入れを目指す南阿蘇鉄道

不通区間の西端にあたる肥後大津駅。停まっているのが高森行きの「ゆるっとバス」(筆者撮影)

南阿蘇鉄道は、運行可能な中松―高森間のみで運転を再開しており、冬季を除いて、看板であるトロッコ列車も走らせている。しかし、立野でのJR豊肥本線との接続が断ち切られている現状では、利用客は少ない。鉄道に代わって肥後大津―立野―中松―高森間を走っているのが、南阿蘇村のコミュニティバス「ゆるっとバス」。村域を大きく超えて地域交通を担っているわけだ。

南阿蘇鉄道は、全線の復旧費用(約70億円)の97.5%を実質的に国が負担する支援策が2017年末に決定し、当面の危機は回避された。立野―中松間の運行再開は2022年度が見込まれている。

復旧に際して、豊肥本線の肥後大津―立野間に乗り入れる案が検討されているとも伝えられた。同線は熊本―肥後大津間が電化されており、輸送量の違いもあって、普通列車の運転系統は肥後大津で電車区間と気動車区間に分断されている。立野での乗り換えを省けるなら大きなメリットがある。これはぜひ実現してほしいアイデアだ。

土屋 武之 鉄道ジャーナリスト

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つちや たけゆき / Takeyuki Tsuchiya

1965年生まれ。『鉄道ジャーナル』のルポを毎号担当。震災被害を受けた鉄道の取材も精力的に行う。著書に『鉄道の未来予想図』『きっぷのルール ハンドブック』など。

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