滑りやすい場所が「どこか」。事前に危険エリアを認識しておき、そこを避けることも、覚えておきたい。
「滑りやすい場所は雪が積もってまもないところよりも、“雪が固く締まったところ”や“凍ったところ”です。ではどこがそういう場所かというと、都心部ならば人通りが多いところ。地下鉄駅や地下街の出入り口。店内の出入り口。バスやタクシーの乗り換え場所などが代表ですね」(金田さん)
こうした人通りが多いところは、雪が踏まれて固く締まる。また、人が踏むことにより溶けやすくなるので、その溶けたところが、外気が寒いとふたたび凍結する。すると氷となって、締まっていない雪よりも滑りやすいアイスバーンになりやすい、というわけだ。
「だから歩道でも、多くの人が歩いてケモノ道のようになった場所ほど、実は雪が固く締まって凍りやすいことが多い。北海道では、巧みに『まだ人が踏んでいない雪が積もった歩道のワキ』を狙って歩く人がけっこういます」(金田さん)。
屋内に入ると靴底の雪が溶けて滑りやすくなる
また見落としがちなのが、雪道を歩いたあと、ビルなどの中に入ってすぐの床も滑りやすいということだという。雪がついた靴を履いて温度の高い室内に入ると、雪が溶けて靴底に水の膜ができる。そのせいで摩擦が小さくなり、Pタイルなど、ただでさえ滑りやすい床を歩くと、さらに滑りやすくなるというのだ。「やっと雪道が終わったとほっとせず、しっかり靴についた雪を落としてから建物に入ることを習慣付けるといいでしょう」(金田さん)。
装いにも気をつけたい。暖かいコートやマフラーなどの防寒対策はもちろんだが、忘れてはならないのが「万が一滑った」場合に備えた装いだ。
「まず必須なのが手袋です。もちろん寒さ対策もありますが、ころんだ場合に手をつく可能性は高い。このときに手そのものを防御する役割があります。また、手をポケットにつっこまなくなるため、両手が空き、歩く際にバランスも取りやすい」(金田さん)。ニット帽などで頭を守ることもできればしておきたい。凍結している場合は、路面も固くなっており、場合によっては重傷化、打ち所が悪ければ死亡することもある。「頭を強打する」ことだけは絶対に避けたい。帽子をかぶるだけで、そのリスクはぐっと下がるのだ。
「同じ理由で、雪の日の出勤はリュックを使うことを推奨しています。ブリーフケースなどと違って、両手が使えるとバランスが取りやすいし、ころんでも受け身が取りやすい。また、万が一、後ろにころんだときでも、背中のリュックがクッション代わりになって頭部を強打することを防げます。実際に私は札幌で、何人かリュックを背負っていたおかげで頭をぶつけずに済んだ方を目撃しています」(金田さん)。
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