投資信託は、本当に「長期保有」が正しいのか

敏腕ファンドマネジャー大島和隆氏に聞く

激しい変化ゆえに先を見通しにくい時代になり、特にアクティブ運用の投資信託は、設定時点の商品設計が、あっという間に陳腐化してしまいます。なかでも、私がかつて運用していた「さくら日本株オープン(現 三井住友・日本株オープン)」のように、運用モデルを駆使した投資信託は、運用モデル自体が20年後、30年後も機能するようには設計されていません。

ファンドマネジャーの寿命という問題もあります。ひとつのファンドを生涯運用するようなファンドマネジャーはそういません。会社勤めである以上、部署の異動や転職というケースもあり、その時点でファンドマネジャーは交代、運用の連続性はそこで途切れます。米国のフィデリティ投信の「マゼランファンド」を同社の看板ファンドに育てたピーター・リンチ氏は優れた運用者でしたが、1990年に他の運用者に交代してからの運用成績は、冴えない状態が続きました。

「信託期間無期限」のアクティブファンドは無責任

「20年も30年も保有できる投資信託を選びましょう」などと世間では言われますが、ことアクティブ運用の投資信託に限って言えば、そこまで長期の運用に耐えられる投資信託は存在しないと考えた方が良いでしょう。したがって、「信託期間無期限」とされているアクティブ運用の投資信託は、むしろ無責任なのではないかと思います。

前出の「さくら日本株オープン」は1994年9月に設定され、厳しい市場環境の中でも、相応に高いリターンを実現し、投資信託の評価会社からも高い評価をいただいたのですが、1998年12月から銀行の窓口で投資信託を販売するようになってから、状況が変わってきました。このファンドはもともと信託期間10年で運用していたので、1998年12月の時点で、すでに運用開始から4年が経過しており、残りの運用期間は6年を切っていました。

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ところが、運用成績が良かったので、このファンドを販売する販売サイドから「信託期間を無期限にしろ」という命令が飛んできたのです。

そもそも10年の信託期間を前提にして商品設計をしていたのに、いきなり信託期間を無期限にしろというのは、無理な相談です。10年間は当初の商品設計、運用モデルで運用できたとしても、その後、いつまで続くか分からない信託期間中の運用にまでは責任が持てません。

結局、販売サイドの大きな声に押し切られ、信託期間は無期限にされたのですが、正直、今の「さくら日本株オープン」は、私が運用していた当時のそれとは、全くの別物といっても良いでしょう。

ちなみに同ファンドの純資産総額は、1月26日時点で約136億円ですから、受益者もそれなりにいらっしゃいます。その受益者が、私が運用を担当していた当時から保有し続けていらっしゃるのかどうかは分かりませんが、少なくとも私が運用を担当していた当時と今とでは、ファンド名は同じでも、中身は別物になっている可能性があります。

今、話題のつみたてNISAは、長期積み立て投資の観点から、信託期間は無期限、もしくは20年以上のファンドを対象にしていますが、当初のコンセプトに賛同して購入した投資信託でも、運用期間を経ることによって、コンセプトが変わっていく可能性がある点には、十分に留意しておく必要があります。

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