「米国株は高すぎる」と言える「3つの理由」

「従来の壁を超え新次元に突入」は正しいか

もちろん、連邦法人税の減税が今年から実施されるため、それを勘案する必要がある。というのは、法人税率引き下げによって、実際に各企業の税引き後利益がいくら押し上げられるかは、各社が採用している節税策による部分が大きく、当該企業でないとわかりにくい。まだ減税効果の見積もりが難しいため、現時点でのアナリストの企業収益予想には、「減税分がきちんとは含まれていないケースが多い」と考えられるからだ。

総じて企業利益がどの程度押し上がるかについては、ロイター社の昨年12月20日(水)付の情報によれば、S&P500採用企業の1株当たり利益が2018年に7~10%分減税だけで押し上がる、との試算が主流である。この場合、甘めに「10%」を採用すると、前述の21.7倍のPERは、19.8倍まで下がる。それでもやはり2006年来の上限である18倍をなお超えている。

PERによる株価見通しは正しいのか

こうして筆者は「米国株が高すぎる」という主張を、昨秋から唱えているわけだが、PERが18倍を超えることが常態化したのは、別に最近の話ではない。昨年のほとんどの期間は、18倍超だった。そして昨年のほとんどは、米国株は上昇し続けている。つまり、予想PERに基づく議論が、実際にはずっと機能していないのだ。

とすれば、読者から「馬渕さんの議論は根本的に間違っているのではないか」という疑問が出るのは当然だろう。もうすこし具体的に言えば、「18倍を超えているから割高だ、という考え方自体が間違っているのではないか、何かの構造的な変化が起こり、これからはPER18倍超が正しいことになるのではないか」という疑念だ。

筆者は、常に自分の見通しを自分で疑い、検証する、という姿勢だ。したがって、PERが18倍を超えることが正しくなってしまったかどうかも、すでに検討はしている。

もし、PERの「あるべき位置」が過去より上方に動いてしまうとすれば、下記の(1)~(3)が考えられる。

(1)米国経済あるいは企業収益の長期的な成長率が高まった
足元の利益水準が変わらなくても、将来にわたる利益の成長率期待がぐんと高まったのであれば、株価がそれを先取りしてすぐに上がってしまってもおかしくない。この場合、過去より高いPERで妥当になる。
しかし、米国経済については、いわゆる「ゴルディロックス相場」「ぬるま湯経済」という見解が、株式市場で支配的だ。すなわち、企業収益が増えるくらい景気は強いが、金利上昇を懸念しなければいけないほど景気は強くない、という都合の良い考え方だ。だから株価は上がってよい、という意見が多く唱えられている。この、景気や企業収益の成長はそこそこ、という考え方が正しければ、長期的な利益成長率がぐんと高まったので予想PERが高くて当たり前、という見解は当たらない。

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