「ラストアイドル」が一気に話題になった理由

秋元康プロデュースグループの最新進化

体調不良とアイドル活動がどこまで関係あるのか。多忙や疲労だけが原因なのか、あるいは何か別の病気や怪我が原因なのか、報道の範囲ではわかりかねる部分も多いが、まったく無関係ということは考えにくい。

秋元プロデュースが克服すべき課題

観客目線、ビジネス目線で見ると秋元プロデュースのグループは極めて高度なコンテクストと引き込まれるストーリーを積み上げてファンを虜にする仕組みを作り上げている。一方でそれは欅坂46が見せた紅白でのトラブルやラストアイドルの入れ替え戦からもわかるように、メンバーの負担で成り立っていることもまた事実だ。

本来フィクションとしてのストーリーを現実に作り出すことでメンバーにとっては「毎日が甲子園」のような状況になっていると考えれば、その過酷さは容易に想像できる。

2017年でグループを卒業したAKB48の渡辺麻友さんはインタビューで、AKB48在籍中に最もつらかった事を問われて選抜総選挙をあげた。「毎年寿命が縮む怖さだった」と心境を吐露している。

総選挙は本来シングルCDの選抜メンバーを選ぶために行われる。内輪でのお祭り騒ぎに見えるかもしれないが、実際には前述のとおり順位がその後の仕事や収入に直結しており、当事者にとっては死活問題であることがわかる。秋元氏は自身の著書で、総選挙によるストレスに対応するためカウンセラー等でチームを組んでメンバーのケアに対応させていることも明かしている。

48グループや坂道グループでは度々体調不良を原因に休業や卒業するメンバーもいるようだ。当事者であるメンバーやスタッフ、そしてファンの方からこの状況がどう見えるかはわからないが、少なくとも部外者は安心して見ていられない。

秋元プロデュースのコンテクストを積み重ねる手法は当事者のストレスを避けられない構造があり、どのように折り合いつけていくのかまだ正解を見つけられていないように見える。ただ、ブラック企業の社長のようなことを言うつもりはないが、苦労の末に生まれるものがある事もまた事実だろう。ここは従業員とアイドルは様々な意味で同一視出来ない部分でもある。

モノが売れない時代に、コンテクストを積み重ねてファンを引き付ける手法は、顧客に対して自社の商品・サービスの「買うべき理由を作る」という意味で、エンタメ分野に限らず異業種でも大いに参考になるビジネスモデルだと言える。ただ、そこにはまだ克服すべき課題も残っている。

今後ラストアイドルはどのような活躍をするか、そして秋元氏の手法がどのように進化するか、目を引きつける展開が続くだろう。

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