「日ハム新球場」どっちの候補地がベスト? 実は「交通アクセス」も決め手になる
札幌市の村瀬利英まちづくり政策局政策企画部プロジェクト担当部長は「産業共進会場跡地および北海道大学構内ともに敷地面積の狭さなどで建設地としては難しさがある。交通アクセスに課題はあるが、冬季オリンピック・パラリンピックのスピードスケートの競技会場として考えられていた道立真駒内公園が競技会場候補地から外れたことで新本拠地球場建設が可能となったと考えるに至り、12月15日、同公園案をファイターズへ正式に提案した」と説明する。
一方、北広島市の川村裕樹企画財政部長は「ファイターズが希望する条件と当市のビジョンを一致させた上で、ファイターズが目指す『アジアNo.1のボールパーク』を実現する用地を提供できる」と自信を見せる。また、1月15日には、ファイターズと北広島市がパートナー協定を締結し、「両者が有する資源の利活用により連携し、両者が発展するための取り組みを協働して行う」ことが表明された。
新球場で新たなファン獲得を
新本拠地の候補地選定に向けて報道が過熱する中、ファイターズはどのような考え方で本拠地移転を進めようとしているのか。同球団の前沢本部長に話を聞いた。
――なぜ新本拠地へ移転しようとしているのか。
どの候補地も一長一短があり、現時点では選定に向けて調査検討を行っている状態であることをまずお断りしておきたい。札幌ドームについては、2005年頃の来場者アンケートでは、駅から遠く、札幌市中心部から離れていて不便という意見が多かったが、時間の経過とともにそうした心理的距離を含めだいぶ変わってきたと思っている。
これからの球場は、野球以外の施設を併設する多機能複合型とすることが必要だ。タッチポイント(顧客との接点)の増加および通常の野球ファンとは違った経路でスポーツファンを獲得していくことがスポーツ界にとっては重要との考えであり、それが新球場を構想する大きな理由であることは間違いない。
――札幌ドームに本拠地を置き続けていても、新たな展開は困難だということなのか。
ファイターズが北海道に誕生して14年目のシーズンを終えた。北海道に新たに誕生することができたのは、札幌ドームがあったからこそで、これまでのサポートに深く感謝している。あまり知られていないが、北海道に本拠地を置く際に、前の会社を清算し、新たに北海道日本ハムファイターズを設立している。それが、北海道あってのファイターズだと言い続けている理由だ。
一方で、札幌ドームを使い続けてきて、問題点も感じるようになった。たとえば、現状ではサッカーとの入れ換えのため巻き取り式の薄い人工芝を使わざるを得ない。選手が怪我をしたとの知らせに接する度に心が痛かった。またトレーニングルームの器具を試合の有無で搬入・搬出を繰り返さなければならず選手に不便を強いている。人生を懸けてプレーしている選手たちによりよいプレー環境を用意することは、我々経営層の使命だ。
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