「日ハム新球場」どっちの候補地がベスト? 実は「交通アクセス」も決め手になる
――他に感じている問題点はあるか。
球場は街の活性化に貢献する施設であるべきだと我々は思っているが、札幌ドーム周辺に賑わいはほとんど生まれていない。そもそも、催事開催時以外の札幌ドームは非常に閑散としている。試合観戦の需要を満たす機能しか持っておらず、主目的がないと人が来ない場所だからだ。
――現状を変えるためには何が必要か。
エンターテインメントの多様化に対応するため、球場との一体経営を通して、野球を基軸とした新たな魅力を作り出していく必要がある。そうすれば、球場はもっと街づくりに貢献できる施設になるはずだ。
――「ボールパーク構想」で思いは実現できるのか。
北海道民にとって強すぎる札幌ドームのイメージを打破して、現状維持ではない新たな価値を提供できるファイターズの未来図を描くために、「ボールパーク構想」を発表した。我々は、球場を野球だけを目的にせず、バラエティに富んだ副次的な展開をする施設とすることも重要だと思っている。
球場には交通アクセスが重要だ
前沢氏は球場との一体経営とともに、野球以外の機能を併設する多機能複合施設とすることがプロ野球、ひいてはスポーツ界にとって重要であると強調する。
球場、テーマパーク、ホテル、温泉施設、および商業施設などからなる多機能複合施設の先例としては、東京ドームシティ(東京都文京区)がある。筆者は平日の催事休催日に訪問したが、テーマパークではアトラクションを楽しむ若者のほか、商業施設内のスーパーに買い物に訪れた近隣の主婦や、飲食店に食事に訪れた学校帰りの高校生・大学生などでにぎわいを見せていた。立地の違いがあるため単純な比較はできないが、副次的利用を目的とする来場者の獲得には参考になる事例ではないだろうか。
そして来場者を安定的に呼び込むためには、交通アクセス確保は最も重要な課題の1つであると筆者は考える。札幌ドームは札幌市交通局(札幌市営地下鉄)東豊線福住駅から徒歩圏内にある。
札幌ドーム総務部によると「交通局や市内バス会社とは大規模イベントごとに連携し、東豊線の臨時便運行や、シャトルバス運行などできめ細かく対応いただいている。新千歳空港からの空港連絡バスも、2つの路線が当施設近隣のバス停に停車し、北海道外からの来場者の利用も多い」と言う。交通アクセスを分担する札幌市交通局も「札幌ドームと連携し、催事開催時には特別ダイヤで臨時列車を運行している」(同局事業管理部経営計画課)と説明する。
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