月収12万の私が自覚してなかった貧困の真実 「100%自分が悪い」と自らを責め続けていた

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雨宮:就職しても3年経たずに転職するダメな若者がいるとか、若者はフリーターを選んでいる、怠けてあまり働く気がない若者というストーリーがメインで、それが非正規労働や構造の問題だという認識はまったくなかった。

私は1994年から2000年頃までフリーターだったのですが、その頃がいちばんリストカットやオーバードーズ(過量服薬)をしていました。だから、小林さんの本に書いていることがすごくわかります。バイトもしょっちゅうクビになって、そのたびに自分を責めて死にたくなりました。世の中の構造が変わったからフリーターが増えていると知らず、100%自分が悪いのだと思っていました。

周りにはそういう生活の中で自殺して亡くなった人もいたし、私自身、オーバードーズによる自殺未遂で救急車で運ばれ、胃洗浄を受けたことがあります。そういった若者の苦しみが雇用破壊の問題と知られるまでに時差が10年くらいあったというのは、とても大きい問題です。だから、そんななか生き抜いて生活保護を切ったのは本当にすごいことですよね。

小林:ありがとうございます。

生活保護はルールが明確化されていない部分もある

――生活保護はルールが明確化されていない部分もあるので、贅沢をしていないかケースワーカーが確認しに来ることもあるんですよね。

小林:そうなんです。何をして良くて、何をしちゃいけないのかがまったくわからなくて。生活保護を受けている間でも働いていいということも知らなかったので、柏木ハルコさんの『健康で文化的な最低限度の生活』(小学館)を読んで初めて、行政側は受給者に「働け」と指導することを知りました。私が生活保護を受けているとき、ケースワーカーからは一言もそんなことを言われなかったので。むしろ、自分で仕事を探して仕事を得て働き始めても、全然応援をしてくれなかったです。

あと、古いものを売って得たおカネは役所に申請しないといけないのか、親が野菜を届けてくれたときも申請しないといけないのか、などそういう細かいところもわからないままでした。市としても、生活保護を切れるのは良いはずなのに、「どのくらいの稼ぎがあれば生活保護を切れるよ」という話もありませんでした。そういうことは何も言ってくれないのに、「高価なものを持っていないか点検するために家の中に上がりたい」とは何度も言われました。

雨宮:うわ、それは嫌だな。

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