特別仕様車まで造るトヨタディーラーの凄み 名物経営者がディーラー業界の未来を占う

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 ――若者の車離れをどのように見ていますか?

若者は車離れしていない。従来の購買型から離れただけではないか。レンタカーを見ると、若い人の利用は毎年伸びている。東京だけで見れば、車を買って維持するのは難しいだろう。交通機関もたくさんある。だけど車を使いたいと思ったらレンタカーやカーシェアで自由に車を選べる。昔も本当に若者が車を買っていましたかと聞きたい。収入が少ないのは同じだ。ある調査で車への関心度を大学生に聞いたところ、今と昔でほとんど差がないことがわかっている。

――最近の車は複雑で高度化しており、営業担当者も知識を得て説明するのが大変ではないでしょうか?
 大変だ。お客様はある部分のことだけ詳しく知っているが、こちらは全部を知っているとは限らない。幅広く知る必要があるからだ。ただすべてを覚えるのは難しい。だから、どこにどの情報が入っているかを認識し、デバイスからすぐにその情報を即時に提供できるかが重要だ。

車の販売に血の通った会話は重要

 ――ディーラーでもAI(人工知能)が活躍する日は来るのでしょうか?

神奈川トヨタがスポーツカー好きな顧客向けに展開する販売店「Area86」。専門スタッフがアドバイスする(撮影:今井康一)

 2030年代の終わりになるとAIでもかなりできるようになるだろう。ただ何百万円もする買い物なので、時代がいくら変わっても、AIやロボットから買おうと思うかな。一緒にAIを操作して買い物をするというスタンスのサービスはあると思う。われわれはAIではできない、お客様にフィットしたサービスを提供していく。購入する場合、お客様の選択肢は膨大、多岐にわたる。その人のパターンがすべてわかっていればAIでもできるが、それを読み取るのはまだAIでできない。血の通った会話は重要だ。

――いわゆる熱血漢の営業担当者は残りますか?
 かつてのような夜討ち朝駆けでお客様どうですかというスタイルはだんだん薄れていくと思うが、そういうやり方の人間もまだいる。昨年、トヨタ店で初めて女性が販売トップに立った。入社6年目で約80台を売り、断トツだった。1人で300件近くを担当しているが、顧客にそれなりのインターバルでしっかりとコンタクトを取っていくのは根性がないとできない。電話を1人にかけるのにも留守だったりすると平均3回ぐらいは必要だ。これは容易じゃない。もう少し安い商品だと自動テレホンでもできるが、何百万円もする自動車では難しい。かつて試したことがあるが、クレームがあってすぐにやめた。

――最後にトヨタ自動車に言いたいことはありますか?
 特にない。いい商品を作ってほしいということに尽きる。

冨岡 耕 東洋経済 記者

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とみおか こう / Ko Tomioka

重電・電機業界担当。早稲田大学理工学部卒。全国紙の新聞記者を経て東洋経済新報社入社。『会社四季報』編集部、『週刊東洋経済』編集部などにも所属し、現在は編集局報道部。直近はトヨタを中心に自動車業界を担当していた。

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