地図のゼンリン、「自動運転」で高まる存在感 地図データをめぐり、業界動向は活発化

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ゼンリンとしては、こちらへの協力もしながら、競争領域である付加価値分野への取り組みも進めている。

独自に全方位カメラや各種センサーなどを搭載した高精度計測レーザー車両を走らせ、点群情報を作成し、高精度空間データベースを整備。独自のフォーマット、データのまとめ方、コンテンツを準備している。

特に差別化できるコンテンツとして力を入れているのが、ネットワーク情報。この道路がどう繋がっているか、右折車線なのか左折車線なのか、一方通行か、車寄せ情報まで細かく集める。また、目的地まで何分で行けるか割り出すことも可能にする情報だ。

提携が活発化する地図業界

海外でも自動運転をにらんだ提携の動きが加速している。ドイツの地図データ大手ヒア社は、フィンランドのノキア傘下だったが、2016年にBMW、ダイムラーベンツ、アウディ(フォルクスワーゲン傘下)といったドイツ自動車大手3社が買収。さらに米インテルが出資したほか、パイオニアへ出資し、三菱電機とも提携。撤回されたが中国のソーシャルネットワーク大手であるテンセントらとの資本提携も模索した。

ヒアと並ぶ大手のオランダ・トムトム社はゼンリンと2017年10月にトラフィックサービスの共同開発で提携を発表。より詳細な渋滞情報を集め、正確な到着時間の予測などの実証実験を行う計画だ。

期待の集まる自動運転銘柄だが、2017年の株価は決して好調だったとはいえない。三菱電機は2016年からの上昇基調を継続したが、昨年に限れば14.9%の上昇(12月29日終値)で、日経平均が19.1%上昇したことに比べると物足りない印象だ。

次ページ業績も改善が続く
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