2018年、日経平均3万円到達は十分ありうる 「かなり強気の3人組」が日本株を予測する

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武者:確かに「米国はリスクを取りすぎだ」という批判はあるにせよ、一方では日本も極端に現金が多い。日本人というのは、極めて正常ではないリスク感覚のもとで、間違った投資をし続けているのです。私に言わせれば、借金をして株を買うということが、今ほど効率のいい時期はありません。ある程度の安全資金があり、時間的な余裕がある方には、私はレバレッジを効かせた投資をお勧めしますね。

セクターとしては、阿部さんがおっしゃった金融セクターは、まさしくこうした投資に向いていると思います。もう一つ挙げるとすれば、やはりハイテクでしょうね。IoTとともに、日本が再びハイテクの世界的リーダーになる時代がやってきているのではないでしょうか。

松本:私はこと日本の個人投資家については、武者さんと反対の意見を持っていて、彼らは極めて賢い投資をしてきた人たちだと思っています。実は日本の家計部門というのは、バブルのピークで不動産を売り越したんですよね。これまで世界ではチューリップ・バブルをはじめとするいろいろなバブルがありましたが、その価格のピークにおいては、家計部門は大幅に買い越しているのが常です。しかし、日本だけは家計部門が売り越しで、金融機関(銀行)が買い越したんですね。

「それは売ろうとしたんじゃなくて、担保権を行使されただけじゃないか」という意見もあります。が、それにしても、資産を担保にしておカネを借りてでも買ったという行動は、とてもすばらしい。しかも多くの個人投資家はいいところで売り抜けて、そのおカネで株も外貨も買わず、当時6パーセント程度で回っていた日本の債券などにおカネを移しました。ご存知の通り、株価はその後、4分の1になり、外貨も2分の1や3分の1になり、金利も大きく下がりました。その意味では、日本の個人投資家は時流を的確に読み、天才的にポートフォリオを変更した人たちだと思っています。

ただ、やはり人間なので、過去の経験に縛られてしまうところはある。過去20年の移動平均線を見ると日本株はずっとダメだったので、これから上がると言われても、投資家としてはなかなか買えませんよね。だからこそ「いや、これからは違うんだ」と意識しないと、先ほど武者さんがおっしゃった通り買い損ねてしまうリスクがあると思っています。

2018年は「次の時代を準備する総仕上げの年」になる

松本:3人の中では私が比較的弱気なので、今回は、大変強気なお二人のお話を伺えてよかったです。

武者:私は「平成の大総括」が2018年の大きなテーマになると思っています。実は、平成というのはすごくいい時代でした。株価のパフォーマンスは悪かったけれども、企業のビジネスモデルが劇的に変わり、日本がグローバル・シチズンとして洗練された30年だったと思うんです。世界が日本を見る目も、昭和のそれとはガラリと変わりました。

後から見れば、平成の30年間は「次の新しい10年、20年の土台になった時代」となるのではないでしょうか。その総仕上げという意味では、2018年は、非常に大きな「エポックメイキング」(新時代を切り開くような画期的)な年になる可能性があると思いますね。

阿部:私は「リアルとデジタルの融合」が、これからの企業活動のキーワードになると思います。これまでリアルで圧倒的に強かった会社が、デジタルを道具として生産性を劇的に向上させていく。そのような変化が企業収益にも一段とあらわれる。2018年とは、そういう年です。ですから、「クラウドにデータを集めることができる、リアルビジネスをやっている会社」の株価がどんどん上がると思っています。投資家として引き続き、そういう会社に注目していきたいですね。

(2017年12月末に行われた鼎談を独自にまとめたものです。マネックス証券のHPにある動画で全内容を見ることができます)

大住 奈保子 編集者・ライター

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おおすみ なほこ / Nahoko Osumi

1984年、京都府生まれ。大阪市立大学文学部哲学歴史学科卒業。出版社勤務を経て2015年にフリーの編集者・ライターとして独立、2017年に株式会社Tokyo Editを設立。現在代表。マネーや経済、ビジネスなどのテーマを中心に、企業の集客に役立つコンテンツを制作する。『ど素人サラリーマンから月10万円を稼ぐ! 株の授業』(冨田晃右・ぱる出版)をはじめ、投資関連書籍の取材・制作協力実績も多数。

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