2018年、日経平均3万円到達は十分ありうる 「かなり強気の3人組」が日本株を予測する
武者:中国に関する最大のリスクは、まさしくそこだと思いますね。中国は中央集権的な国家ですから、国内で問題が深刻化するということはほとんどないと思います。しかし、対外的な取引、クロスボーダーのところには大きなリスクがあります。今の人民元というのは、現在の中国人の人件費からすると割高ですから。実際、中国の貿易黒字は、年率で2割ぐらいのペースで減っています。
もし今の水準で人民元を維持するとさらに黒字が減りますので、経常赤字にならないためには人民元に手をつけざるを得ないというのはうなづけます。しかし他方で、中国という国はトータルで4兆ドルもの資金を海外からの投資に依存しています。人民元が弱くなれば、こうした投資資金が急激に逃げていくでしょう。
もしそんなことになると、「(ドル建てベースでの債務が膨らみ)、借金を早く返さなきゃいけない」という、中国企業の「借金返済の前倒し」も
起きますから、資本収支が大幅に悪化します。一方で、米国には「中国を経済的に封じ込める」という大きな目的があるので、容易には人民元の切り下げは認めないはずです。そのため中国は人民元を切り下げたいという誘惑にかられることはあっても、実際はできないと思いますね。したがって、これが大きな悪循環のきっかけにはなることはないと思います。
2018年注目のセクターは「金融」と「ハイテク」
松本:なるほど。2018年にあたって、個人投資家はどんな点に着目すべきでしょうか。注目のセクター(業種)などはありますか?
阿部:株式投資は常に余裕資金で行うべきですが、何に投資するかということでいえば、例えばスパークスは配当利回りが3パーセント前後で、10年後にも必ず残っているであろう日本のメガバンクなどの会社に投資しています。バフェット氏に大きな影響を与えたベンジャミン・グレアム氏の言葉を使えば、こうした株は十分な「安全余裕率」があります。
日本のメガバンクが世界的なレベルでの効率性があるかと問われたら、そこまではわかりませんが、いま銀行預金なら利息がほとんどゼロのところが、こうしたメガバンク株を持てば3パーセント前後の配当利回りになるわけです。ここから正常なインフレの時代になれば、銀行は今より収益を上げやすくなる。利益が増えれば当然配当額も増えるるので、狙い目だと思います。
松本: 個人投資家で、個別銘柄に投資するのはどうかという人もいます。ETF(上場投資信託)などの「インデックス投資」でも十分でしょうか。
阿部:インデックスで十分と言うよりは、銀行の預金に置いておくよりは、インデックス投資で配当をもらうほうがいいということです。ウォーレン・バフェット氏でさえも、十分に時間のない投資家にはETFへの投資を勧めています。ただ、投資にかける時間が十分にある人は、もちろん個別に企業を選ぶほうがいいと思いますね。
武者:私はもう少し、大胆に対応できると思っています。例えば日本でも米国でも、個人金融資産のうち大体3割が年金保険の準備金なんですね。違うのはそれ以外の金融資産です。自由になる資金を100として見ると、日本は現預金がそのうちの7割で株式投信が2割、米国はまったく逆で、7割が株式投信で、現預金は2割なんです。
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