徳洲会、新たに「裏金」疑惑浮上 徳田虎雄氏は徹底抗戦の構えか

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虎雄氏が病に伏してから、女性ファミリーが中心になって自宅のロッカーに隠されていた現金約6億8000円を、ファミリーらの名義で分散して株式などに投資したとされる。出どころの不明な資金を徳田ファミリーらが株式運用しているという実態は、特捜部も把握しているとみられ、関係者の事情聴取やファミリーらの家宅捜索などでこの真相が明るみに出る可能性がある。

ある関係者は、「もともとは、虎雄氏の選挙資金として使うはずだったもの。出どころは病院建設に絡んだゼネコンからのキックバック(建設費の3%)で残ったものだろう」という。ただ、ゼネコンからのキックバックについては、すでに時効が成立。残された資金についての違法性を視野に、捜査が続けられているとみられる。

自浄能力ないと「明日はない」

いわばグループ崩壊の危機に瀕している徳洲会。目下の悩みは、グループのいくつかの病院で毎年この時期に研修医の募集を行っているが、今のような状況では研修医は誰も徳洲会に来なくなるということ。新人医師の採用さえできなくなるおそれがあることだ。

ある病院長は「今後、採用面でもたいへんなことになる」と危惧する。だが、今の徳洲会の体制を改めて、徳田ファミリーと訣別し、新しい徳洲会に生まれ変わることができるのか。

徳洲会は沖縄や奄美群島など離島医療や山間部の僻地医療になくてはならない存在であることは間違いない。一部のファミリーによって“私物化”された経営体制を、グループ自らの自浄能力で刷新していかなければ、徳洲会に明日はない。

木村 秀哉 東洋経済 記者

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きむら ひでや / Hideya Kimura

『週刊東洋経済』副編集長、『山一証券破綻臨時増刊号』編集長、『月刊金融ビジネス』編集長、『業界地図』編集長、『生保・損保特集号』編集長。『週刊東洋経済』編集委員などを経て、現在、企業情報部編集委員

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