ベンツにボルボ、「輸入車」人気再燃のワケ 小型車・SUVが充実、消費の2極化も加速

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こうした機能面の充実が輸入車販売にどれだけ貢献しているかを端的に示すデータはない。ただ、「消費者が車を選ぶ際に何を重視するか」という点についての興味深い調査がある。顧客満足度を調査するJ.D.パワーは2017年6〜7月、新車購入を検討している1万人を対象に「日本新車購入意向者調査」を実施した。

アウディはインパネの画面をメーターにしたり、カーナビにしたり、ボタン1つで切り替えられる「バーチャルコックピット」をオプション装備にするなど、機能の充実を図っている(写真:Audi)

「輸入車ブランド」を候補の1位に挙げている人が最も重視するポイントは「外装や外観のデザイン」。そして「走行性能」「安全性能」が続く。一方、「国産車ブランド」を候補の1位にしている人の理由は、「購入価格」がトップで、続いて「外装や外観のデザイン」「燃費の良さ」を挙げた。つまり、輸入車を選ぼうという人は価格や燃費よりも、輸入車独特のデザインや性能をより重視しているということだ。

個性や安全性能で輸入車が選ばれている

J.Dパワー・アジア・パシフィックでオートモーティブ部門執行役員を務める木本卓氏は輸入車を選ぶ人の特徴として、「商品の質感を大切にする人」「没個性を嫌う人」「最新の安全装備に追加費用を払っても構わないと思う人」「プライベートな空間を大切にする人」などを挙げる。国産・輸入車の両方を販売する千葉マツダの大木康正社長も、「輸入車を選ぶ人は、安全に対するメーカーの姿勢やブランドにまつわるストーリーに共感するケースが多い」と話す。

「輸入車が売れている理由は1つ。消費行動が2極化し、優先順位が高いものにしっかりとおカネをかけているから」。冒頭のボルボ・ジャパンの木村社長はそう断言する。自分が好きなものやこだわりを持つものにおカネをかける一方で、そうでないものに対しては財布のひもを締めるという消費行動がよく見られるようになった。モノやサービスがあふれる成熟した先進国で起こる現象で、これが自動車の消費行動にも及んでいる可能性がある。

日本カー・オブ・ザ・イヤーの授賞式で表彰後に笑顔を見せたボルボ・カー・ジャパンの木村社長(右)(写真:日本カー・オブ・ザ・イヤー実行委員会)

実際、ボルボも以前より高単価の車種が売れているという。「この3年で台数は2割増えたが、売上高は5割増えた」(木村社長)。2014年当時の平均単価は300万円台前半だったが、2017年は500万円を超えたという。400万円以上の輸入車の台数が伸びているのも同じ理由からだろう。

ただ国内メーカーもSUVの新型車を積極的に投入している。安全運転支援機能も軽自動車にまで広がってきた。輸入車の”復活”は本物か。見極めるには、2018年以降の動向も注視する必要がある。

高見 和也 東洋経済 記者

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たかみ かずや / Kazuya Takami

大阪府出身。週刊東洋経済編集部を経て現職。2019~20年「週刊東洋経済別冊 生保・損保特集号」編集長。

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