爆進・エヌビディアは「三日天下」を招くのか 突然の利用制限に世界から大ブーイング
エヌビディアのGPUには複数の製品シリーズがあり、このうち普及価格帯が「GeForce」シリーズ、高価格帯が「Tesla」シリーズと呼ばれる。新しい規約は、GeForceを今後導入する人だけではなく、すでに利用している人にも適用される。具体的には、GeForceに付随するドライバソフトウェアを最新版に更新すると、データセンターでの利用を禁じる規約に同意したことになる。そのうえでデータセンターで利用を続ければ、著作権の侵害にあたる。
これまでの投資がムダになる
「データセンターでGeForceを使ってシステムを構築してしまった企業や研究機関は、わが社を含めていくつもある。(普及価格帯の製品でも)システム構築にはどこも多額を投資しているのに、その投資がムダになる。横暴な措置だ」。そう憤るのは、この問題を真っ先に取り上げたAIベンチャー・UEIの清水亮社長だ。
清水社長は、規約上の「データセンター」が何を指しているかあいまいな点も問題視している。
今回の規約変更を受け、データセンター事業者のさくらインターネットは12月21日、GeForceを搭載したサーバーの新規利用を停止した。同社の場合は、規約が禁じている「データセンターでの利用」であるのは間違いない。だが、企業や研究機関はこういった商用データセンターだけでなく、自前のサーバールームにもシステムを構築していることがままある。こういった環境での利用はどうなるのか、基準が判然としないのだ。
東洋経済の取材で明らかになった事例では、ある研究機関の研究者が「研究機関内のサーバールームもデータセンターとなる」とエヌビディアの営業担当者に指摘され、GeForceを使わないように求められたケースがあった。これを踏まえると、予算規模が限られる研究グループでも、高額のGPUを使うよう求められるおそれがある。
エヌビディアは取材に対し「現在事実を確認しており、すぐには回答できない」(日本法人広報担当)としているが、ユーザーの反発を事前にある程度想定していたことは想像に難くない。それでも規約変更に踏み切ったのは、「AI用の半導体は現状では、ほかにあまり選択肢がない」という現状を楽観視した可能性がある。だが、その現状は決して盤石ではない。それどころか、規約変更を契機に急速に揺らぐことも考え得る。
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