「人口32人」の集落に移住したドイツ人の気概

色鮮やかな古民家が消滅寸前の集落を救った

十日町市役所よると、同市の人口は市町村合併した2005年に6万2000人いたのが、現在は5万4000人にまで落ち込んでいる。過疎化の食い止めは市としても切実な課題で、今後は5万人台をキープするのが目標だという。「移住者を増やすためにも、まずはお試しの場が必要だと考えた。ここを拠点に移住定住が促進され、将来的には就農にも結びつけていきたい」という(十日町市役所総務部の小林秀幸氏)。

また、十日町市では農業以外のビジネスチャンス拡大に向けて、ビジネスプランコンテスト「トオコン」を開催している。学生向けのビジネスプランコンテストを2015年より一般向けに拡大したもので、最大300万円の事業化支援が受けられる。この「トオコン」からは、実際に若手起業家が誕生している。

過疎化に歯止めをかけるにはどうしたらいいか

2016年度は59プランのエントリーがあり、10件が実際に事業化された。最優秀賞を受賞した山岸裕一氏は、東京から十日町市に戻り、父親が経営する「松之山温泉 玉城屋(たまきや)旅館」を継いだ。現在は、小さな旅館の再生ビジネスをテーマに活動の幅を拡げている。十日町市側は、今後は「就農支援だけなく、起業しやすくビジネスチャンスがある場所としても認知を広めていきたい」(産業観光部の高橋洋一氏)としている。

人口減少と高齢化で集落の存続が危ぶまれる集落は日本各地にある。最近では都会から移住した若者を中心に、空き家や古民家を再生しカフェやゲストハウスにする取り組みも増えつつある。が、それを長期的な就労人口の増加につなげられるかどうかは未知数。十日町市の場合、ベンクス氏を中心とした取り組みの成否のカギを握るのは、移住・定住者の数が、人口減少の数を上回るかどうかだ。

定住者を加速度的に増やすには、十日町市全体で住宅、就職に加え、結婚・子育てといったサポートも必要だ。市では、独身の男女に出会いを提供する事業を始めたほか、地域おこし協力隊を中心に、地域住民との交流イベントなども開催している。ベンクス氏が手掛ける古民家は、住民と移住者、年長者と若者、行政と民間などの交流を活性化させる懸け橋となるだろうか。

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