マンデラの右腕は「腐敗の国」を変えられるか ANCのラマポーザ新議長を待つ試練

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ラマポーザ副大統領は、ズマ大統領のスローガンでもある「急進的な経済改革」、つまり南アフリカが今日直面しているすべての問題は「白人の資本独占にある」という曖昧なポピュリストイデオロギーを掲げるズマ大統領の元妻と対峙し、勝利した。だが、同副大統領が処理の美酒に酔うのもつかの間、政権要職に就く6人のうち、半数はドラミニ・ズマの派閥から選ばれることになっている。

副議長に選出されたムプマランガ州首相のデビッド・マブザ氏は、ドラミニ・ズマ派の一員で、政敵の暗殺の首謀者として非難されているだけでなく(同氏は否定)、数知れない腐敗容疑をかけられている。ANCの幹事長という影響力のある地位に就いているフリーステイト州のエース・マガシュル首相も汚職疑惑のある、ドラミニ・ズマ派の1人である。

正反対の展望を掲げる2つのグループ

ラマポーザ副大統領と、ドラミニ・ズマ氏の主導権争いは根本的に、解放運動としてのANCの起源に端を発している。あらゆる政治的組織はほぼ何があっても、生き残るためにダーウィンの法則に従う。革命運動は必然的に、呉越同舟の相手を生み出すのだ。

黒人民族主義者、少数民族派の改革主義者、共産主義者、敬虔な信者、産業リーダー、社会の最貧困層といったまったく異なる人々が混ざり合った状態に、こうしたことが起きると、結束を保つことこそが何より重大なこととなる。終わりのない歩みよりが続き、政権は24年間もの間、袋小路にはまりつづけた。

だが、この歩み寄りを終わらせることは危険だ。ANCの場合、2009年の選挙では70%の得票率があったのが、2016年には54%にまで減っている状態では特に。このため、ANC内はドラミニ・ズマ氏のポピュリスト派と、ラマポーザ副大統領の現実主義者派に二分しているのだ。南アフリカの将来について、正反対の展望を掲げる2つのグループが1つの政党内に存在しているわけである。

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