マンデラの右腕は「腐敗の国」を変えられるか ANCのラマポーザ新議長を待つ試練
1990年、ネルソン・マンデラ氏の27年間に及ぶ獄中から釈放され、南アフリカ共和国の国民を巻き込んだ不安と希望が入り交じった闘争が起こった後、マンデラの与党政党であるアフリカ民族会議(ANC)は、同国の不正のベールを暴くために新たな指導者を選出した。
ANCの議長に選ばれた元実業家のシリル・ラマポーザ副大統領は、2019年に行われる大統領選の本命候補となる。今や大衆から軽蔑されているジェイコブ・ズマ大統領は2期を務めたが、その間に南アフリカは不正によって分断された。が、ラマポーザ副大統領の勝利は、自らの元妻ヌコサザナ・ドラミニ・ズマを後継にしようとするズマ大統領の思惑を打ち砕いた。
金融市場はラマポーザ氏の勝利を歓迎
ズマ大統領が問題なく元妻に後継を譲ることができていれば、同大統領が過去10年以上にわたって行ってきた783件にも上る不正や汚職に対する疑惑も取り払うことができただろう。あるいはまた、同大統領が組成した厚かましい取り巻き集団「国家捕獲(ステート・キャプチャー)」が冒した罪を見逃したり、戦利品を供与できたかもしれない。伝えられているところによれば、ズマ大統領は、南アフリカの管理の甘い公的機関を「乗っ取る」ことで、数十億ドルを手にしたと言われている。
今回の選挙では、南アフリカの9州のうち3州で裁判の末、100人以上の議員の資格が無効になった。最終的に投票を認められたのは4776人で、ラマポーザ副大統領はわずか179票で過半数を得たのである。こうした無効票のほとんどは、ドラミニ・ズマ氏の支援者だったとみられる。
南アフリの通貨ランドが9カ月連続で上昇するなど、金融市場はラマポーザ副大統領の勝利を歓迎しているが、政治的不安は今後も続きそうだ。マンデラ氏が大統領を務めていた「虹の時間」は今は昔。冨をより公平に分配しようとした経済政策の失敗の後、人種差別の応酬が続く状態に陥っている。