「江の島」台風被害は観光に打撃を与えている イルミネーション「湘南の宝石」への影響は?

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まず、稚児ヶ淵レストハウスに関しては、建物前の市道のブロックが波により破損し、めくれた状態になっているほか、建物入口への階段の手すりや、建具が壊れるなどした。入口の扉は引き戸だが、波の力によって、中に入り込んでしまう被害も発生したという。同施設の所有は藤沢市で、復旧にかかる費用は、およそ500万円。現計予算から支出し、すでに復旧に向けて、一部の工事が開始されている。

第二岩屋の内部。洞窟内には波に運ばれたゴミや砕けた岩などが堆積している(写真:藤沢市)

一方、より深刻な被害が発生しているのが岩屋洞窟だ。台風の直撃が高潮の時間と重なったため、波が洞窟の最深部まで流れ込み、現在、洞窟内には波に運ばれたゴミや砕けた岩などが堆積しており、特に奥のほうで堆積状況がひどいという。また、落石防止の防護ネットがはがれたほか、洞窟内を歩く拝観者にロウソクを渡すロウソク小屋も流され、破壊された。さらに、付帯施設である、稚児ヶ淵と岩屋洞窟入口を結ぶ通路、第一岩屋と第二岩屋を結ぶ通路の高欄も壊れたため、岩屋洞窟の復旧にかかる費用は1億4160万円に上る。

岩屋洞窟の復旧に関しては、現計予算で対応しきれない部分について、12月の市議会で補正予算を審議中であり、その後、入札等を行うことから、復旧工事の着工は、どんなに早くとも年明けになる。

さらに被害額増加の可能性も

台風による被害額は上記にとどまらない可能性が大きい。まず、岩屋洞窟の入口から岩場に下りる「第二階段」は鉄筋コンクリート製だが、中の鉄筋がねじ曲がるような形で破壊され、波の圧力が相当大きかったことを物語っている。

「人間が想定する以上の圧力がかかることを考えると、強度を増せば大丈夫ということにはならない。復旧に当たっては、構造的に問題がないかという視点での検討も必要だが、壊れたときに復旧しやすい方法や、そもそも現状の位置に階段を設置すべきか含め、総合的に再設計することが必要」(藤沢市観光シティプロモーション課の木村課長補佐)

この再設計に基づき、再設置する場合の工事費用は上記の1億4160万円には含まれていないため、復旧費用はさらに増える可能性が大きい。

また、台風による直接被害にとどまらず、岩屋洞窟の閉洞による、観光収入の逸失も無視できないレベルになる。岩屋洞窟の入洞料は、藤沢市の観光収入の、いわば“稼ぎ頭”であり、2016年の収入は、およそ1億8000万円に上った。昨年は、「ポケモンGO」の流行による訪問者増があったことなども考慮する必要はあるものの、昨年の収入ベースで単純に計算すれば、半年間、営業を休止すれば9000万円の減収となり、他の観光事業の展開にも影響が出る。

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