「江の島」台風被害は観光に打撃を与えている イルミネーション「湘南の宝石」への影響は?

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

さらに、岩屋洞窟内の文化財の状況も不安材料だ。古くは弘法大師や源頼朝が訪れたという伝承もある岩屋洞窟内にはさまざまな石仏等の展示物がある。これらが波により、どのような影響を受けたかに関しては、現状、土砂に埋もれている部分が多い状況なので、取り除いてみないと確認できないという。

さて、今後の復旧の見通しはどうなのか、観光シティプロモーション課の齋藤課長に話を聞いた。

「まず、すでに工事に着手しているレストハウス前と岩場への導線に関しては、年内には、岩場に下りられるようにし、ある程度の人の回遊性を確保したい」と話す。遊覧船べんてん丸の船着き場が岩場にあるため、岩場への導線が復旧すれば、遊覧船が再開できる可能性があり、人の流れが増えることも期待できるのだ。奥津宮から稚児ヶ淵周辺の飲食店は被害発生後も営業を続けているが、観光客の減少に苦しんでいる店もあり、同エリアの人の回遊性の確保は急務なのだ。

GWまでの営業再開を目指す

「湘南の宝石」は、メイン会場の「サムエル・コッキング苑」が島の頂上部であり、台風の被害が発生した場所から離れているため、藤沢市によれば「今のところ、客足に影響はない」という(筆者撮影)

次に、岩屋洞窟の復旧に関しては、「年間で最も人が増えるゴールデンウイークまでの営業再開を目指し、(現在審議中の)補正予算が付いた後はスピード感を持って対応したい。再設計が必要な岩屋洞窟入口付近の第二階段等についても可能な限り早期の工事完了を目指す」とする。

岩屋洞窟は、1971年の閉鎖後、1993年4月から公開が再開されたが、今回のような大きな被害が発生したのは初めてだ。高潮時に台風の直撃が重なったのが主な原因であるが、来年以降も同様の被害が発生する可能性は否定できない。一方で、岩場の地形自体が観光・環境資源であることから、防潮堤の設置など根本的な対策を取ることが難しいというジレンマがある。

森川 天喜 旅行・鉄道作家、ジャーナリスト

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

もりかわ あき / Aki Morikawa

現在、神奈川県観光協会理事、鎌倉ペンクラブ会員。旅行、鉄道、ホテル、都市開発など幅広いジャンルの取材記事を雑誌、オンライン問わず寄稿。メディア出演、連載多数。近著に『湘南モノレール50年の軌跡』(2023年5月 神奈川新聞社刊)、『かながわ鉄道廃線紀行』(2024年10月 神奈川新聞社刊)など

この著者の記事一覧はこちら
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事