NHK受信料の契約は「2段階方式」にするべきだ

「真の公共放送」だけ切り出せば納得感が増す

当然ながら、英国でも支払い義務の是非に関する議論はあり、BBCの受信料を「任意契約制にすべき」との主張もある。現時点では受信料制度が維持されているが、BBCの収入が業界2位であるITVの2倍という大きな規模を誇ることもあり、不満の声は小さくない。

このため、BBCでは受信料制度を維持するにあたっていくつかの制度改革を行っている。NHKの経営委員会に相当していたBBCトラストという組織を廃止し、BBC理事会を設置。BBCの活動や番組制作の最終責任を持つが、この理事会に参加する14人はBBC外部の人間を登用し、その人選によって中立性を担保するようになった。さらにBBCトラストが受け持っていた規制・監督機能は、民間と同じ放送通信庁「オフコム」が受け持つようになった。

もっとも、NHK経営委員会・執行部の関係と、新しいBBC体制をそのまま横並びに比較はできない。日本がひとつの模範としてきた英国でも、常に議論があるという程度に捉えておくといいだろう。

どこまでが公共放送としての機能なのか

さて、その規模感やBBCの状況を大まかに把握した上で、NHK受信料に関する最高裁判決は、どのような影響を与えるかを考えてみよう。

今回の判決で明らかなのは「テレビを設置している限りNHKの受信料を払いなさい」ということだ。受信料金は12カ月前払いの口座振替、クレジットカード払いで1万3990円(地上波契約のみ)および2万4770円(衛星契約含む)。放送種別にかかわらず147ポンド(約2万2000円)のBBCと同レベルだ。

【12月21日11時25分追記】初出時にNHKの受信料契約について「両方を契約するのであれば4万円に迫る」とありましたが、誤りでしたのでお詫びして削除・訂正いたします。

NHKには、民放では製作がかなわないだろう、素晴らしい番組も数多くあるのも事実だ。ドキュメンタリーや歴史ものなどに加え、国会中継、災害時報道、ニュース報道などを通じて、「公共放送」としての役割を果たしている部分も大いにある。

それでもNHK受信料に対する悶々とした不満を感じるのは、普段から目にしているNHK番組の多くに民放が制作する番組に近いテイストを感じているからではないだろうか。その上でNHKの事業収入規模を見返したとき、どこからどこまでが公共放送としての機能なのかという疑問が浮かび上がってしまう。

NHKは事業収入の97%以上が受信料だが、事業支出のうち公共放送として必要な予算はもっと少ないはずではないか、民放には行えない公共領域に関してのみ契約する形にするべきではないか、といった思いへとつながっていく。

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