HV王者のトヨタがEVにアクセル踏み込む理由 2020年代前半に世界で10車種以上のEV販売
欧州勢が活発に動く中、トヨタがEV化を打ち出せなかった理由の一つが、コストの多くを占める車載用電池への不安だった。だが、先日のパナソニックとの提携でその心配が薄れた。寺師副社長は「パナソニックとの提携で、電動化で唯一欠けていた最後のピースがそろった。これでようやく電動車の絵が描けるようになった」と話す。さらに、「EVの電池容量はHVの50倍以上もあり、電池はキーファクターだ。開発、生産への思い切った投資が必要で、2030年までに電池だけで1.5兆円を投資する」と意気込む。
「競争力ある電池開発は単独では困難」
今回、パナソニックとの提携はトヨタから打診した。先日のパナソニックとの会見で豊田社長は「電動化のカギを握るのは電池だ。競争力ある電池を開発して安定供給することが大事」としたうえで、「単独の努力では解決できない。パナソニックは車載用電池のリーディングカンパニーで、ものづくりに対する創業以来の強い情熱がある」と持ち上げた。
トヨタはこれまでモーター、パワーコントロールユニット(PCU)、電池を”三種の神器”と位置づけ、内製化を基本にしてきた。電池へのこだわりは強く、グループの祖である豊田佐吉氏が1925年に革新的な電池の発明に100万円の懸賞金を出すとした「佐吉電池」への思いを会見で語ったほどだ。実際、航続距離が大幅に伸ばせる次世代の「全固体電池」も2020年代前半の電動車両への搭載を目指し自社開発してきた。だが、ここでもパナソニックとの協業を検討する。
これまでトヨタは「上から目線でアライアンスが下手」(豊田社長)として自前主義が強かった。だが、最近はEVを軸に矢継ぎ早の外部連携を発表している。マツダとデンソーとはEVの共通モジュールを開発する新会社を9月に設立した。スズキともインドでのEV事業で提携検討することで11月に合意。スズキが生産するEVにトヨタが技術的支援を行い、その車両をトヨタへ供給する。パナソニックとの協業による車載電池でもマツダやスズキなどを巻き込み“日の丸連合”で対抗したい考えだ。
「来年は攻めに転じたい」と話した寺師副社長。「石橋を叩いて壊す」と揶揄されるほど慎重なトヨタだが、世界でEVシフトが加速する中、大きな変革を迫られている。
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