中国人がハンカチを使わないこれだけの理由 必要ないを飛び越して、むしろ不潔?

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3年前、湖南省長沙という内陸部の都市に出掛けたときのこと。そこのトイレで私がハンカチを取り出して手を拭いていたところ、一緒にいた農村出身の20歳の女の子が不思議そうに私を眺めていたことがあった。彼女は手を洗っていなかったようだったが、濡れたハンカチを折り畳み、カバンに入れようとしている私に向かって一言、「中島さん、濡れたハンカチをそのままカバンに入れるんですか? それは不潔ですよ。よくないです」と真顔でいったのだ。

私は彼女が日本のきれいなハンカチを褒めてくれるのかと勝手に思っていたので、びっくりして、二の句が継げなかった。「手を洗わないほうがずっとよくないんじゃないの?」といいたかったが、いえなかった。

確かに、1日に何度もハンカチで手を拭いていると(布が薄いときなどは、とくに)ビショビショになってしまうことはある。私も濡れたハンカチを「気持ち悪い」と思ったことはあるし、同じように思う日本人もいるだろうが、だからといって、ハンカチを持ち歩かなくていい、という考えは日本人の発想にはあまりないだろう。

しかも、これまで手を洗わない、あるいは手を洗った場合でも、パッパッと手を振って水気を飛ばしてごまかしていた人たちに言われたくないよ、と思ったが、中国に住んでいる日本人の友人にこの「ハンカチ問題」を投げかけてみると、みんな私が言われたことと、ほぼ同じようなことを中国人から言われた経験が1度や2度はあって、笑ってしまった。

いずれにせよ、ハンカチは必要ない

とにかく、中国のトイレでは、これまでハンカチを使うシチュエーションがなく、今では厚手のペーパーがハンカチ代わりとなり、いずれにしても、ハンカチは必要ない、というのが結論なのだ。味も素っ気もデリカシーもない気がするが、これは事実だ。

日本人にとって、ハンカチにはさまざまな用途がある。冒頭のように涙を拭くときや、汚れた手を拭くとき、汗を拭くときだろう。あるいは、何かを包むときにも便利だ。日本では食事どきに女性が膝の上にナプキン代わりに置いたり、口元を拭くこともある。

日本のデパートに行けば、たいてい1階にはハンカチコーナーがあり、大量のハンカチが売られている。値段が手ごろで種類が豊富なので、ちょっとしたプレゼントやお返しとして買う人も多い。とにかく、日本人はハンカチが大好きな民族なのだ。

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