映画「IT/イット」が若者を引きつけるワケ 「スタンドバイミーのホラー版」はあえて封印
12月初旬に都内の映画館を訪れると、公開6週目のレイトショーにもかかわらず、客席の半数程度が埋まり、20~30代前後の若者やカップルでにぎわっていた。
なかでも、グループで訪れる観客が目に付いた。高校生や大学性、若手サラリーマンたちが団体で訪れるのが、この作品の特徴になっている。仲間内で「怖いけど面白いらしい」と広まり、遊園地のお化け屋敷にいくような感覚で訪れるのではないかとみられる。
20代の層にターゲットを絞る
その背景には、映画配給側の緻密な宣伝戦略があった。
配給を担った、ワーナーブラザース・ジャパンは、「宣伝戦略として高校生や大学生、20代の層にいかに訴求できるかにターゲットを絞った」(ワーナー・ブラザース映画マーケティング本部スーパーバイザーの大木麻友子氏)という。そして彼らに、“現象として盛り上がっている”ことを浸透させていったという。
まずタイトルを『IT/イット “それ”が見えたら、終わり。』と、スティーヴン・キングの名作を知らない人にも観てもらえるように工夫した。そして大きいのが、宣伝文句で『スタンド・バイ・ミー』を使うことをやめたことだという。「スタンド・バイ・ミーのホラー版」といえば、宣伝文句にもなりやすいし、映画ファンならその方がイメージも湧きやすい。
しかし、それでは年配層はついてきても、「スタンド・バイ・ミー」を知らない若い世代にはまったく伝わらない。マスコミや評論家が、そう書く分にはかまわないが、シンプルに作品の面白さ(と怖さ)を伝えることに専念したという。
「いろいろな要素を宣伝につめこむと、本質が伝わらなくなり、口コミにつながらなくなる。怖い映画だと思って観た人がギャップを感じ、『それを伝えたい』と思えるように仕掛けた」(ワーナー・ブラザース映画マーケティング本部シニアマネージャー・吉田英央氏)
恐怖の対象となるピエロのペニーワイズも、どこか間抜けな感を醸し出すユニークなキャラクターだが、「出せば出すほど見た気になってしまい、飽きられてしまう。なるべく出し過ぎないようにした」(宣伝担当者)。
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