映画「IT/イット」が若者を引きつけるワケ 「スタンドバイミーのホラー版」はあえて封印
現在公開中の映画『IT/イット “それ”が見えたら、終わり。』が、大健闘している。
モダン・ホラー小説の大家・スティーヴン・キングの名作『IT-イット-』が原作。不良少年たちに目を付けられるような内気な少年たちが、子どもの失踪事件の原因となっている「恐怖のピエロ」=ペニーワイズと対峙する物語。通常のホラー映画はとことん恐怖心をあおる内容となっているが、キング作品らしい、勇気をもって困難に立ち向かう少年たちを主人公に、最後は「泣けるホラー映画」に仕上がっている。
興行収入が”後伸び”
11月3日に公開され、直後の週末の興行収入(売上高に相当、以下興収)は3日間で2.8億円と、『マイティ・ソー』に次ぐ2位にランクインした。2週目以降は徐々に動員数が下がっていくのが通常だが、2週目の週末は1週目より約2割増。3週目も好調をキープし、動員ランキングで1位に立った。その後も勢いは止まらず、4週目も2位をキープ。映画を観た観客が作品の内容に満足し、「怖いけど良い作品、観た方がいい」と、口コミで広がっていったことが“後伸び”する要因になった。
12月13日までの動員数は148万人、興収は19.4億円で、今週中にも興収20億円はクリアできそう。この数字は年間1000本以上公開される映画作品の中で、上位30に入る水準。興行収入10億円以上がヒットといわれる業界ではかなりいい数字だ。
しかも上映館は当初202スクリーンと、大作級の400~500スクリーンに比べると半分程度。その後、評価が高まったことで254スクリーンまで拡大したが、いずれにせよ少ないスクリーン数で、効率的に数字を稼ぎ出したことになる。
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