私のサービス論 「全てのクレームは必ず私に報告されます」

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私のサービス論 「全てのクレームは必ず私に報告されます」

サービスがサービス産業の専売特許であったのははるか昔の話。今やサービスは、あらゆる産業にとって最優先課題になっている。日本の名だたる企業のトップたちは、「サービス」をどう定義し、具体的にどのようなサービスを実践しているのか?各社のトップに聞いた。
(『週刊東洋経済8月11日・18日合併号の特別版』)

Q.御社にとって、「サービス」とは何ですか?

 最高の品質の商品を適正価格で提供することはもちろん、その過程において営業・設計・生産・施工・アフターサービス等の段階でお客様の信頼と満足を得るよう努めること。それこそがサービスだと私は考えています。

 住宅業界はお客様に家を引き渡して終わりではなく、その後長年にわたりお付き合いをしていきます。その間お客様が常に満足をされることを目指し、「いつも今が快適」な商品の開発を追求することや、アフターサービスの徹底をはじめ、阪神淡路大震災等の大地震や毎年発生する台風等、災害発生時、速やかに、お客様の復旧・支援を行うための体制作りを行い、「安心」を提供することに努めています。

 さらに、受託性能に関しても、今年4月に制振システム「SHEQAS(シーカス)」を標準搭載した新商品の開発・発売や、防犯機能に優れた商品を普及するなどして「安全」を提供しています。当社は「安心」「安全」「いつも今が快適」を常にお客様に提供し続け、お客様に満足いただくことこそ、サービスの根幹だと考えています。

Q.御社のサービスの具体例を教えてください。

 施工品質を均質化し、設計の意図を十分に反映させ、生産から施工まで一切代理店を介さず、当社グループによる直接契約・責任施工により、品質の高い、お客様のご要望に応えるパーソナルオーダーメイドの住宅を提供しています。

 お客様のご希望に十分お応えするため、打ち合わせは十二分に実施しますが、さらにご期待にそうため、着工前にお客様から「着工前お伺い」をアンケート形式で実施し、ご要望を踏まえて着工しています。また、引き渡し時、およびご入居1年後アンケートを実施し、以後のサービス向上に努めています。

 オーナー様から当社物件の売却希望があった場合、当社が買い取り、大規模リフォームを施し再販する「オーナー住宅買取再生事業」を本格展開し、当社物件の資産価値を高めると同時に、循環型社会への構築に寄与しています。

 また、当社オーナー様向けに年2回生活情報誌を発刊し送付することで、常に当社からオーナー様に情報発信をしています。ウェブサイトによる当社オーナー様向けのネットオーナーズクラブを運営し、オーナー様への情報発信およびコミュニケーションの場を設けています。

Q.サービスを定着・向上させるために、どのような取り組みを行っていますか?
 
 オーナー様からいただく、着工前・引き渡し時・およびご入居1年後のアンケートに基づき、以後のサービス向上に努めています。加えて、当社カスタマーズセンターを本社直轄組織とし、アフターサービスを全社均一で質の高い対応が実施できるようにしています。オーナー様のクレームは必ず社長に報告される仕組みを作り、トップ自らがお客様の生の声を聞くことで、経営に直結し質の高いアフターサービスを心がけるようにしています。

 また、直接契約・責任施工を行うため、当社および各グループ会社に対し、研修施設・研修学校にて教育を行っております。義務功労賞、技術功労賞等、優秀社員やチーム等の表彰制度を設け、サービス向上につながる取り組みを実施しています。

和田勇(わだ・いさみ) 
1941年和歌山県生まれ。関西学院大学法学部卒業後、積水ハウス株式会社入社。90年取締役、98年より現職。

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