都心の新橋に跋扈する「レンタルルーム」の謎 料金は30分1000円〜、何をする場所なのか?

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1971年に開館した、新橋のランドマークとでもいうべき大型ビル「ニュー新橋ビル」のエントランス(筆者撮影)

1971年に開館したニュー新橋ビルは、築年数も半世紀近くになり、さすがに古さを感じさせる。外壁、階段、店の案内板、すべてが昭和で止まっている。地上11階、地下4階建て。このビルに足を踏み入れる人間は、1階のエントランス柱にある広告板が目にとまるであろう。

バイアグラと風俗店と麻雀店の看板だ。

バイアグラ処方店、麻雀サロン、囲碁会館、ゲームセンター、純喫茶、居酒屋、金券ショップ、ネクタイ・ワイシャツ店、占い、漢方薬店、スッポン専門店、中国マッサージ、野菜ジューススタンド、フラメンコ教室、ボクシングジム……一見何の脈絡もない商店の寄せ集めといったところだが、このビルにはある大きな法則が支配している。

すべてはオヤジサラリーマンのために、という法則が――。

野暮用はニュー新橋ビルですべて完結する

ゲームセンターは、とっくの昔に消えたと思われたテーブル型ゲーム機が主流で、挑戦者が勝てばゲーム上の女性が裸になるという脱衣麻雀ゲームが現役だ。

健康に気を配るオヤジサラリーマンのために、漢方薬から野菜ジュース、スッポン、足裏マッサージといった小さな店が点在する。

営業に出かけるサラリーマンが汗をかいてシャツを着替えたいときには、1階のワイシャツ専門店が便利だ。

定年退職したオヤジたち最大の娯楽でもある囲碁、麻雀、将棋がこのビルに行けばいつでも堪能できる。

最近では禁煙の喫茶店ばかりが増えているが、ニュー新橋ビルはほとんどが煙草可。非喫煙者よりも愛煙家にやさしい(そのせいか、店外の通路まで煙草の臭いが漂ってくる)。

喫茶店でもっとも人気があるメニューはナポリタンだ。しかもどこもみなラーメン二郎状態とでもいうべき超大盛り。ワイシャツにケチャップソースが飛ばないようソースの粘度が高めのいわゆる“新橋系ナポリタン”である。

オヤジサラリーマンは、まだまだ自分は枯れていないと思っているので、夜の営みは人生の半分近くを占める関心事だ。それ専門のクリニックはもちろんニュー新橋ビルにあるし、バイアグラも処方してもらえる。寂しい男たちの夜の小道具TENGAやピンクローターを扱うアダルトグッズ店、生身の風俗嬢が相手をしてくれるファッションヘルス(40分7000円から)まである。

要するに、50代以上のオヤジサラリーマンの野暮用はニュー新橋ビルですべて完結するのだ。

なぜこんな混沌としたビルになったのか。

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