都心の新橋に跋扈する「レンタルルーム」の謎 料金は30分1000円〜、何をする場所なのか?

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料金は30分1000円からと安い。とあるレンタルルームに入ってみると、そこは赤と黒で統一されたSM風の個室だった。3畳ほどの個室にはベッド代わりにソファーが置かれ、シャワールームもある。有料の貸出グッズにはアイマスク、バラ鞭、拘束具。この部屋はSMプレイを主たる目的に利用されるものらしく、SMグッズの貸出料金は50円という安さだ。アダルトグッズの定番ピンクローターが200円、すけべイスまで100円で貸し出している。

新橋の裏路地に並ぶレンタルルームの看板。たいてい雑居ビルの上の階で営業している(筆者撮影)

宿泊も可能で、替えの男性下着は150円、「小腹が減ったら」のコピーでカップヌードルが200円で売っている。すべて安い。アメニティセットの中にはコンドームもある。

このレンタルルームを使って、デリバリー系(派遣型)風俗が新橋では活況を呈している。なかでも、嬢が手を使って男性器を刺激し放出に導く手淫風俗は、依然デフレの風俗業界で爆発的ヒットになっている。大ヒットの要因は安さに加えて、若くて可愛い嬢が多いという点である。

手淫は風俗のうちに入らないと思っている若い女子大学生、専門学校生、フリーターたちが抵抗感なく飛び込んでくる。しかも、オヤジの街・新橋なら友人たちには知られずにアルバイトできる。

人気の手淫風俗の中には、アロマエステや韓国エステ、中国エステといったマッサージ系の一部の店が、施術の最後のサービスとして手による放出を売りにしているものもある。これもありそうでありえない設定に違いない。

料金は手淫基本コースが20分2000円から。オプションで顔以外の写真撮影が3枚1000円。平日昼時にもかかわらずスーツ姿の男たちをよく見かけるが、お隣の汐留で働く大企業のサラリーマンたちも、この界隈にこっそり足を伸ばして人知れず鋭気を養っているのだろう。

この猥雑な風景はもうじき見納め

『新橋アンダーグラウンド』(書影をクリックすると、アマゾンのサイトにジャンプします)

ニュー新橋ビルと赤提灯街の界隈は、2023年頃を目安に地上30階建てのツインタワーのオフィス・商業施設として、野村不動産とNTT都市開発が主導で再開発される計画となっている。

この猥雑な風景はもうじき見納めとなってしまうのだろうか。

ちなみに冒頭に登場したニュー新橋ビル2階に広がる妖しい中国エステ店だが、肝心の施術はというと、ごくまっとうなマッサージであった。もっとも、終了間際で「お客さん、延長どうします?」と鼠蹊部(そけいぶ)を揉みながら再度色仕掛けがあるのは、やはり新橋らしさなのかもしれない。

本橋 信宏 ノンフィクション作家

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もとはし のぶひろ / Nobuhiro Motohashi

1956年埼玉県所沢市生まれ。早稲田大学政治経済学部卒。執筆内容はノンフィクション・小説・エッセイ・評論。著書に『心を開かせる技術』(幻冬舎新書)、『東京最後の異界 鶯谷』『戦後重大事件プロファイリング』(ともに宝島SUGOI文庫)、『迷宮の花街 渋谷円山町』(宝島社)、『上野アンダーグラウンド』『新橋アンダーグラウンド』(ともに駒草出版) 、『全裸監督 村西とおる伝』(太田出版/山田孝之主演でNetflixドラマ化決定、2019年夏より世界190カ国で同時配信予定)など。

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