フランス男に同居する恋愛反射神経と不行儀 褒めて崇める日本人が知らない文化の実態

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あこがれているだけは見えてこない、「フランス的」な感覚とは?(写真:gandhi/PIXTA)
日本でフランスやパリといえば、とかくアートやファッションや恋愛の「お手本」とされ、あこがれを持って語られるもの。だが、それは「日本人が期待するフランス」という消費ジャンルにすぎず、現実のフランスはもっと別の合理的な価値観で動いていて、しかもいま何かの変化の渦中にあるのではないか……。
フランスには日本人の言う愚妻なんていない」(2017年12月21日配信)に続いて、フランス人の妻を持ち、結婚生活と子育てを日仏文化の狭間の視点からユーモラスに描く日本人漫画家のじゃんぽ〜る西さんと、フランスを含む長い海外生活を経てリアルなフランス観を持つエッセイストの小津彩さんによる対談後編をお届けする。(聞き手は河崎環)

フランス社会が男に期待しているものとは

――女性が生き生きとしているフランスですが、ではフランスの男性ってどんな感じなんでしょうか。

小津彩さん(以下、小津):恋愛反射神経がいいと思います。政治家でも、普通の街中のお兄さんでも。だからあれほど政治家にもいろいろな報道があるのだと思います。(筆者注:24歳差婚のエマニュエル・マクロン現大統領夫妻のみならず、フランソワ・オランド前大統領は2度目の事実婚の間に若い女優との関係が報じられて事実婚を解消、ニコラ・サルコジ元大統領も3度のドラマティックな結婚をし、現夫人は元スーパーモデルで歌手のカーラ・ブルーニである。)

じゃんぽ~る西(以下、西):いま息子を育てながら感じますけれど、そういう恋愛反射神経はフランスの男なら子どものときからたたき込まれるものなんですよね。

小津:言葉なんかなくても、女性と目で会話できるんです。メトロ(パリの地下鉄)の中で読書をしていた男性と目が合って、その後すぐに自分の降りる駅に着いたので、降りようとしたら、彼がウインクしながら口パクで何か言ったんですよ。一瞬、私は彼が何と言ったのかキャッチできず、そのまま無反応で降りてしまったのですが、ホームを歩き始めた瞬間、わかりました。彼は「Bonne journée! (いい一日を!)」と言ったんだな、と。

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