フランス男に同居する恋愛反射神経と不行儀 褒めて崇める日本人が知らない文化の実態

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西:メトロで声かけられるなんて、絶対地雷ですけれどね(笑)。日本人の女性にはもちろん危険もあるけど、あのフランス男性の感覚と技術には、日本人の男は到底かなわない。僕が日本人女性ならすぐ好きになると思う(笑)。逆に、日本人の男はフランス人女性に対して、フランス語能力と何かしらのスペシャリティがないとアピールできませんね。

小津:フランス人女性と付き合っていた日本人の男友達が、「フランス語で話していて、わからない単語があると、すごくイラッとされる」とか、「けんかすると、胸をえぐられるような言い方をされる」とか言ってました。

西:そう、僕が習いたてのフランス語で会話すると、ムシュー(男性)は聞いてくれるけれど、マダム(女性)はすぐ「わかるように話して!」とキレるんです。

――そう考えると、フランスでも男性のほうが期待されているものが大きいんでしょうか。

西:いや、日本人男性のほうが社会的なプレッシャーは大きいですよ。稼がなきゃいけないとか。フランス社会では、恋愛面においては男性に求められる資質も確かに大きいですけれど、経済的なものや社会的な地位などのプレッシャーからはかなり自由だと思います。

夫は40歳で妻は64歳、マクロン夫妻をどう思う?

――お2人は、マクロン大統領夫妻をどのようにご覧になったのですか。

小津:パリにいたとき、私の周りでは、女性が一回り年上というカップルが結構いました。高校生のマクロン少年と出会った頃の、教師時代のブリジットさんの写真を見ましたが、今のほうがきれいだと思います。マクロン氏にとても愛されていて、いい夫婦関係が築けているからだろうなと思います。もちろん、本人の努力もあるとは思いますが。

西:24歳差で、しかも女性のほうが年上ですけれど、フランスならなんてことはないカップルです。ただ、フランス社会でも賛否両論あります。やはり付き合い始めは、マクロンは高校生で、ブリジットは既婚、しかもマクロンと同じ学年に自分の娘がいた母親ですから。小さな田舎町で起きたことでしたし、十分にスキャンダラスで批判もあったから、マクロン夫妻は苦労してきたんですよね。

風刺漫画では今でもネタにされてますけど、フランス社会としては大統領夫妻となった彼らにとやかく言わないんです。それは、本人たちの意識と責任の問題だと。

――他人の恋愛をとやかく言わないのは、フランスならではですね。日本だけじゃなくてほかの国でも、マクロンの40歳に対してブリジットの64歳という年齢やルックスをどうこう皮肉る論調はちらほらあったようですが。

西:ブリジットはとても努力していますよ。彼女をきれいと思えるような感覚のスイッチへと切り替えられたら、それが「フランス的」になるということかもしれないですね。彼女はもともと文学や演劇の先生ですし、文学や哲学のセンス、教養が深く、そこをマクロンは好きになった。年齢ではなくて、そういう女性の「あり方」を愛するということですよね。

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