フランス男に同居する恋愛反射神経と不行儀 褒めて崇める日本人が知らない文化の実態
西:ただそれでも、浮気や不倫をしたからといって、それが絶対悪なわけではないし、人格否定もしない。政治家も、政治の手腕があればそれでいいし、アーティストもいい作品を作っていればそこで評価されます。
小津:フランス以外の国でも、アンジェリーナ・ジョリーさんは、ブラッド・ピットさんを略奪して結婚しましたが、大きくバッシングはされず、むしろ好感度の高いカップルとしてメディアに取り上げられていましたよね。
フランスでは、事実婚という形をとるカップルも多いです。結婚すると、離婚するのが大変というのも一因かもしれませんが。フランスはカトリック教国で、1975年まで協議離婚は禁止されていました。それ以降も離婚するには裁判が必要だったのですが、2007年から、双方が合意している場合、公正証書を作って裁判所に行けば離婚できるようになりました。それでも、やはり大変ですよね。
――事実婚という言葉がまるでファッショナブルかのようにとらえられがちですけれど、そういう宗教的、社会的な事情もあるのですよね。
人と人の距離が近いからこそ
――西さんがおっしゃいましたが、フランスはコミュニケーションのハードルが低い社会であるがゆえに、恋愛も華やかだけれど、街中のけんかも多いと。人と人の距離が近いということは、そういうことなのですよね。
小津:パリでは、街中でのナンパもけんかも、両方よく見掛けました。東京では、街で他人と話すことはあまりありませんよね。あと、私の場合ですが、電車やバスの中で席を譲ろうとすると約8割断られます。「すぐ降りますので」とか「大丈夫です」とか言われて。
西:それでも、替わらないよりはいいと思うんです。思っていることや意思は表明すべき。日本は席を譲るほうも譲られるほうも下手ですよね。お互い気にしすぎ、傷つきすぎで、忖度(そんたく)の応酬をしているから、疲れてしまうんだと思います。
小津:そんな、街中でのコミュニケーションが活発な欧米で、いま「ストリートハラスメント(ストハラ)」が問題になっていますよね。街を歩いているだけで女性はいろいろ声をかけられ、その中には不快で攻撃的なものもあり、時には恐怖を感じることもある。「10 Hours of Walking in NYC as a Woman(女性がニューヨークを歩いた10時間)」という動画を見ましたが、ひどかったですね……。ニュージーランドのオークランドで同じ実験をしたところ、ストハラはなかったという結果も出ていましたが。
日本では、他人とあまりコミュニケーションをとらない分、ストハラもほぼないと感じます。もちろん日本も100%安全というわけではありませんが、あるフランス人女性が東京に来て、「こんなに安心して歩ける都市があるんだ! ビックリした」と言っていました。私も同じ意見で、やはり東京は安心して歩ける街だと思います。満員電車内の痴漢問題はありますが。
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