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トランプ政権「怒濤の規制緩和」に漂う不安 人事権から伝家の宝刀までフル活用

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  • 安井 明彦 みずほリサーチ&テクノロジーズ 調査部長
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CRAは、行政府が決めた規制を、その施行から一定の期間内に限って、議会の決議で廃止できる手続きを定めている。上院で野党が議事進行を妨害できない手続きとなっているため、民主党の抵抗を受けずに共和党の議員だけで規制の廃止が可能となる。パブリック・コメントなど、行政手続きでの規制変更に必要な段取りも不要である。

この手続きをトランプ政権は駆使している。すでにトランプ政権は、インターネット上のプライバシー保護に関する規制など、オバマ政権が政権末期に施行した14件の規制を廃止に追い込んだ。CFPBも標的である。オバマ政権の規制をCRAで廃止できる期間は過ぎてしまったが、トランプ政権になってからも、コーデレー前局長時代のCFPBは、オバマ政権の厳格な規制路線を引き継いでいた。

新規規制の見送りも

コーデレー時代に施行された規制は、まだCRAで廃止できる期間内にある。2017年11月には集団訴訟に関する規制がCRAで廃止されており、マルバニー局長は、このほかにもCRAで廃止できる規制がある可能性を示唆している。

オバマ政権から始まっていた規制の制定手続きを遅らせたり、新規の規制を見送るのもトランプ政権の手法である。オバマ政権が用意した主要な規制では、企業年金などのフィデューシャリー・デューティー(受託者責任)に関する規制について、完全施行時期の延期が発表されている。

またトランプ政権は、「1つの新しい規制を施行するたびに、2つの既存の規制を廃止する」との方針を明らかにしており、2017年の年央の時点では、施行の準備が整った規制の本数が、過去数年の実績を大きく下回っている。

一般論で言えば、ビジネス界にとって、規制緩和は追い風になる。オバマ政権が規制を厳しくする方向にあったこともあり、中小企業を対象にした調査では、規制緩和を期待する割合が約10年ぶりの高さを記録していた。

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【不安を募らせるビジネス界】

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