日本人が知らないフィンテック大国の実像 あのインドで急速に進むキャッシュレス
経済取引の約8割近くが現金決済で行われてきたとされるインドにあって、単に高度なIT人材を欧米など海外に輩出するだけでなく、自国の経済を活性化させるためにも、キャッシュレス社会の急速な推進が、政府の悲願であったことは言うまでもない。
街角のチャイを売る屋台も電子決済
ちなみに、中国ではホームレスもQRコードを使って物乞いをするというニュースが話題になったが、インドでも、街角のチャイを売る屋台で電子決済を用いるところが出始めたり、ヒンズー教の寺院では、お布施の支払いに電子決済アプリを導入したところもあるという。数年後には中国を抜くと見られる人口超大国インドにおけるフィンテック分野での発展は、見過ごせない底力を秘めているといえる。
アメリカから参加していた金融機関の男性は冗談交じりで顔をしかめながらも、興味深いことをつぶやいていた。
「これまでIT技術大国のインドからの人材流出で、アメリカは多大な恩恵を受けてきた。だけど、インド経済がフィンテックしかりで、急速に発展して金融のデジタル化の基盤が出来上がると、優秀な頭脳がわざわざアメリカに来なくなってしまうんじゃないかと心配だよ。ただでさえ、今はドナルド・トランプ政権のビザ厳格化でアメリカを見捨ててしまうインド人が増えそうだと心配されているのにね」
余談だが、初開催の昨年も参加したという別のインド人のスタートアップ関係者は「去年より今年は食事を出すテナントがたくさん出て楽しいね! シンガポール政府は本当に景気がいい」とはしゃいでいた。
確かに、会場にはシンガポールの歴史を象徴するプラナカン建築風の街並みを模した、テーマパークのような無料の飲食スペースが設けられていた。名物のチキンライスやプラナカン料理だけでなく、インド人が作る本格派マトンカレーやベジタリアンにも対応したキヌアサラダなど、毎日長蛇の列ができるほど人気を博していた。
夜には煌びやかなライトの演出で盛大にパーティが行われ、南国風のカクテルが振る舞われ、バンドの生演奏で盛り上がりを見せていた。まさに「世界最大規模のフィンテック・フェスティバル」と掲げるシンガポール政府の並々ならぬ熱の入れようがうかがえた。
次回は、アジアにおけるフィンテックのハブを目指すシンガポールで、日本勢はどのような存在感を見せていたか、出展企業の取り組みや海外勢からの期待などをお伝えする。
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