最新鋭機開発で混乱続くボーイングとエアバス--振り回される日本企業の苦悩



トヨタ生産方式に学びクルマのように航空機を造る

パトリック・シャナハン ボーイング副社長・787プログラム責任者

--現在のB787の開発状況は?

長期的な視点では、多くの改善が行われたと考えている。最大の改善点はパートナーやサプライヤーとの協力関係だ。彼らの能力は飛躍的に伸び、仕事の質も非常に高いものになった。

中期的に重要なのは、787の初号機が最終組み立て段階に入った、という点だ。すべての構造がチェックされ、システムが装着された。“本物の飛行機”が完成に近づいている、ということだ。

日々の進行状況について言えば、予想以上の達成があり、進捗は満足できるものと考えている。従業員の仕事ぶりも安定し、チーム内のストレスも減少した。だが、最大の評価が下されるのは、もちろん、飛行テストを迎えてからだ。予定としては今年の終わりころだが、早ければ早いほうがよい、と思っている。

--開発が遅れた原因は何か。

調査分析中だが、現時点では、最大の原因は生産システムだ。われわれは遅れを取り戻すために、パートナーが行うべき作業も、この最終組立工場で行おうとした。それが開発の遅れに拍車をかけることになった。また、最初の試作品を作り上げるには時間も労力も要するものだが、最初からすべてのことをあまりに迅速に進めようとして失敗した。

乗客の快適さが第一義 日本企業との関係は不変

--大型の787‐10の開発には、根本的な設計変更が必要と言われる。

新型機開発については、多くの「業界専門家」が憶測を述べるが、その大半は「名なしの評論家あるいは専門家」だ。‐10にどのような需要があるのか分析し、その需要に合わせパフォーマンスも変化させる必要がある。(標準タイプの)787‐8の開発から得た改善点も反映させる。そのためにどれだけの設計変更が必要か、今の時点ではわからない。

--787の開発では「乗客の搭乗体験」が重視されたと言われる。

一般的に飛行機の構造やエンジンに関心が集まりがちだが、787では乗客がいかに快適に過ごせるか、そしてパイロットやアテンダントがいかに快適に仕事できるか、を第一義に考えて設計した。

これは、全社を挙げてトヨタ生産方式を研究した成果とも言える。われわれは98年からトヨタや日立のエアコン工場に社員を送り、カイゼンを学んだ。その結果、トヨタがそうしているように、乗客と乗員にとっての快適な空間づくりと効率的な生産ステムという、2つの異なることを同時に考えることができた。

飛行機の機能を大幅に改善しながら、効率的な生産システムを組み上げるのは、15年前ならクレージーと言われただろう。当初、エンジニアは「クルマのようには飛行機は造れない」と反発した。しかし、それは可能だった。その成果が787に現れていると考えていい。

--日本以外のロシアや中国のパートナーをどう見ているか。

われわれはすでにロシアのタイタニウム社と強力な関係を結んでいる。787の開発に当たって、新たなパートナーを募る必要もあった。しかし、重要な技術的分野のパートナーといえば、やはり三菱重工だ。日本のパートナーとの関係は強化されることこそあれ、大きく変化することはない。主要なパートナーに関しては、関係は安定している。

(週刊東洋経済)

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