暴言が突出!広がる「悪質クレーム」の実態

「顧客至上主義」からどう脱却していくのか

もちろん、ゼンセンとしてはクレームそのものを否定しているわけではない。「クレームは消費者の意見がわかるアンテナでもあり、サービスを向上させるための有益な情報」というのが基本姿勢だ。「問題なのはあくまで悪質だという点。広く社会に受け入れられる名称を考えていきたい」(ゼンセン常任中央執行委員の森田了介氏)。

もう1つの課題が、悪質クレームの基準を明確化することだ。今回、ゼンセンは悪質クレームを「商品やサービスに関する要求内容または要求態度が社会通念に照らして著しく不相当な苦情のこと」、または「一般常識に照らして明らかに不当である要求や異常な態様の要求行為」と定義した。

「顧客至上主義」の呪縛

ただ、その判断基準が企業、もしくは対応した従業員によって異なる場合があり、実際には厳格な対応が難しい。店頭などの迷惑行為については、刑法の適用された判例が少なく、適用されるにもハードルが高くなっているという。

11月20日にUAゼンセンが開催した「悪質クレーム対策セミナー」には多くの加盟組合の代表が集まった(記者撮影)

ゼンセンは早期に業界全体としての基準作りをし、悪質クレームの現状や対応策を周知していく構えだ。

現場で働く従業員が「顧客至上主義」の呪縛にとらわれている点も見逃せない。11月20日にゼンセン主催の悪質クレーム対策セミナーで講演した深澤直之弁護士は「(現場の従業員が)お客様だから仕方ないと思い込んで、我慢しすぎている」と指摘。さらに「(過度な要求については)断ることや無視することも立派なクレーム処理の1つ」と強調した。

今後、ゼンセンとしては悪質クレームの取り締まりを目的とした法整備を訴えていく方針だ。ルールを確立して対策を講じると同時に、消費者1人ひとりが自らの行いを見つめ直す必要もありそうだ。

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