12月の日本株、予想される「2つのシナリオ」 再度「バブル崩壊後の高値更新」はあるのか
今回はほぼ同時に過去の高値を更新したことで、日本株は新たな上昇局面入りとなった可能性が高いのです。もし、ここからバブル後の新たな高値を目指すとすれば、時折加速する場面をみせながらの動きが予想されます。
ただ、当面の高値となった11月9日(取引時間中では2万3382円)は、SQ(特別清算指数)算出直前で高値を形成しやすいタイミングでもありました。日経平均株価の高値と安値の値幅も約860円に広がり、ちょうど1年前のトランプ波乱(昨年11月9日)以来の値動きの大きさとなりました。そういえば、2015年の年間高値が6月24日、その1年後の6月24日に2016年の年間安値をつけました。1年といえば偶然のように聞こえますが、地球が太陽を1周するのに1年かかることを考えると、9日の乱高下は不思議なことに「魔」の力が働いたのかもしれません。出来高も大幅に膨らんだため、そこで買い方となった投資家の戻り待ちの売りをこなす時間は、ある程度は必要でしょう。
短期的な需給の話には、あまり気をとられない方が良い
また、市場でささやかれている話として、日経平均株価に連動するリンク債の早期償還にともなう売りが上値を抑えた?あるいは当面抑える可能性が高い、というものがあります。
どういうことかと言いますと、リンク債の仕組みは、日経平均株価があらかじめ決められた水準「ノックイン価格」以下になったら、額面金額ではなく、株価の変動に応じて償還金額が変動する仕組みになっています。
一方、逆に、株価が上昇して、「ノックアウト価格」まで上昇すれば、額面金額でしかも早期償還される仕組みになっています。
実は、そのリンク債を作るときにオプション取引に加え、先物買いを行っています。今回のように、日経平均株価が今よりももっと低い水準の時に、高めに設定された「ノックアウト価格」まで短期間で上昇した場合、買っている先物は売られ、早期償還になってしまします。その売りが市場で意識されているというわけです。
ただ、これだけ短期間で上昇する局面では、誰かが予期せぬことが起きることによって、「事情ありの売り」を迫られるということは、常にあるわけです。ただ、こんな話が世の中に出てくるということは、実はしこたま残っている状況とも言いがたいのです。こうした話は短期の投資家には重要でも、バブル高値を狙う投資家にはどうでもよい目先の話なのです。
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