12月の日本株、予想される「2つのシナリオ」 再度「バブル崩壊後の高値更新」はあるのか
では、今後の相場はどうなるのでしょうか。筆者は、当面イメージできる「2つの動き」があると思います。
1つ目は、25日移動平均線(=直近25営業日の平均売買コスト、2万2326円、11月28日現在)をひとつの目安に、比較的大きな値幅でのモミ合いを続けつつ、エネルギーが蓄積されたのち、11月9日の高値を更新していく展開です。
2つ目は、このまま11月16日安値(2万1972円)と17日高値(2万2757円)の間で小さくモミ合ったあと、短期的に直近安値を下回っていくケースです。9日の高値を起点にして「下げ→戻り→下げ」と、二段下げを描くパターンです。
カギ握る、ドル円相場の値動き
2つの動きのうち、どちらになるかは、ドル円相場がカギを握ると思います。まずは、12月1日発表のアメリカの11月のISM製造業景況指数がポイントです。9月は60.8と、なんと13年4カ月ぶりの高水準でした。連動性が高い日経平均のこれまでの上昇要因になってきたといっても過言ではありません。
しかし、2000年以降のピーク水準(60~61.4)に近づいてきた点では、「この先は景気のピークアウト懸念もあり」と筆者はみています。実際、10月は58.7まで低下し、事前の予想も下回る結果となりました。
足元の米長期金利(米10年債利回り)は2.3%~2.4%のモミ合いで変動率が低下し、円安方向に行きにくくなっています。ISM製造業景況指数の上昇が再び確認できれば、金利上昇→円安の流れが期待できるのですが、すでに投機筋の円売りポジションが積み上がり過ぎており、1ドル=113円を突破して円安が進む状況でもないようです。
一方、もし、10月の58.7から悪化が続けば大変です。米長期金利のモミ合い下放れ(低下)に注意が必要だからです。ドル円は10月16日の安値(111.64円)をすでに下回ってしまっているため、ここから円売りポジションが円買いに巻き戻されれば、110円割れまではあっさりと進みそうです。そうなると、日経平均株価は上記でお話した2つの動きのうち、後者のパターンになることが予想されます。
もっとも、足元で主力株がさえないのは、以下の話と無縁ではないかもしれません。実は、サンクスギビングデー(感謝祭)の翌営業日から年末までの株価の騰落(勝敗)と平均騰落率を24年間(1993年~2016年)でみると、アメリカでは大型株が主体のS&P500は17勝7敗、騰落率は1.3%とあまり魅力のある期間ではありません。勝敗にしても騰落率にしても、小型株指数のラッセル2000が20勝4敗の3.1%上昇と圧倒的に優位な期間なのです。
仮に、今年もアメリカで小型株指数が強いのであれば、物色が連動しやすい東京市場では、このところ下に突っ込んだ小型株が相対的に魅力的な動きになることが予想されます。
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