富士通とレノボ、パソコン合弁合意の舞台裏 13カ月もかけたのは好条件を引き出すため

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FCCLが出資比率51%でレノボの子会社となるのは、そのほうが調達面でスケールメリットが働くからだという。たとえばレノボが3個、FCCLが2個の部品を調達する場合、FCCLがレノボの子会社ならば計5個の調達と見なされて、数が多い分、単価を下げる交渉ができる。

ところが子会社でなければ、レノボとFCCLの調達は別の取引と見なされるので、「数が多い」ことを理由とした値下げ交渉はできない。部品調達面でのメリットを重視して51%とした以上、「これ以上のレノボの出資比率引き上げに何の意味もない」(前出の富士通幹部)。

国内工場の閉鎖・集約はない

FCCLが製造しているパソコンは個人向けが2割、法人向けが8割。個人向けはFCCLが販売しているが、法人向けは富士通がシステム構築などのITサービスの一環でセールスするので、FCCLからパソコンを調達して富士通が販売している。FCCLがレノボの子会社になった後も、この形は変えない。

レノボのヤン・ヤンチンCEOは日本のパソコン市場について、「今後数年は伸びる」と語る(撮影:風間仁一郎)

つまり、FCCLが富士通の連結から外れても、パソコンの売り上げの8割は依然として富士通の売り上げとなる。

しかも、部品調達の改善で採算が改善する。一方で、法人向けよりも数が少なく販売単価も低く、相対的に儲からない個人向けは今回連結から外れることになった。これらによって、富士通の営業利益率が上がる見通しだ。

レノボはNECとも国内にパソコン合弁会社を持っているために、「NECと富士通とで工場を集約するのではないか」「国内工場の集約をめぐって、交渉が長引いているのではないか」とみられてきた。だが、富士通幹部は「そんなことはない」と全否定する。「日本のパソコン市場は法人向けを主体に少なくとも今後数年は伸びる」(レノボのヤン・ヤンチンCEO)と見ているために、国内工場の閉鎖・集約はハナから念頭になかった。

こうした日本市場へのレノボの明るい見方は、関係者によれば、ソニー元CEOでレノボの社外取締役を2011年から務める出井伸之氏の助言が大きかったという。ヤンチンCEOは2日の会見の冒頭、会見場のいちばん前に向かい合うように座っていた出井氏に向かって「出井さんに感謝します」と述べたのはこのためだったようだ。

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