米国騒然!「ネット中立性」撤廃の真の恐怖

コンテンツによって通信速度が変わる?

パイ委員長は、「オープンなインターネットを支持する」と主張するものの、その保証はない。すでに同委員長下では、通信会社の抜け道的なサービスがいろいろまかり通っている。

たとえば、ある通信会社に契約していれば、同社が運営する自社のストリーミングサービス視聴は利用データに含まないなどがそれにあたる。競合会社を妨害はしないが、自社サービスは優遇する「ゼロレーティング」と呼ばれるやり方だ。

ネット企業はそろって大反発

撤廃案に対しては、回線利用者側であるグーグル、アマゾン、フェイスブック、マイクロソフト、ネットフリックスなどがそろって反対の立場を表明している。たとえば、グーグルは「現状の規制はうまくまわっている」と声明で発表。フェイスブックのエリン・イーガン副社長も、「本日FCCが発表した新案にたいへん落胆している。撤廃案は、これまで誰にとってもオープンだったネットの中立性の原則を脅かす」との声明を出した。

英BBCによると、米国の中小企業約1000社も共同でFCCに対してオープンレターを発表し、「米国のスタートアップのエコシステムが成功するか否かは、ブロードバンドの速度にかかっている」と訴えた。「ネット中立性がなければ、既存の事業者が(スタートアップの中で)誰が勝者になって誰が敗者になるか、コントロールできるようになってしまう」。

また、言論の自由を求めるNPOであるアメリカ自由人権協会(ACLU)も、この動きは言論の自由を妨げる問題であるうえ、消費者のネット上の行動をモニターするプライバシー侵害の懸念もあるとしている。

ネットの確立自体にかかわってきた学者やテクノロジー関係者には、ネットを平等でオープンな理想の場に守りたいとする声が当然高い。ネットからそんな中立性が奪われるのか。審判は12月14日に下る。日本にとっては「関係ない話」かもしれない。しかし、日本でも通信速度をめぐる通信業者とコンテンツ配信側の議論はこれまでもなかったわけではない。いずれ日本でもこうした議論が起こりかねないことを考えると、米国の動きを注視しておくべきだろう。

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