米国騒然!「ネット中立性」撤廃の真の恐怖 コンテンツによって通信速度が変わる?

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つまり、ネット回線の利用者であるインターネットのコンテンツ会社やサービス会社に対して、通信会社は高速を保ちたければ「高いカネを払え」と要求するといったことが起こるかもしれない。料金による違いでなくとも、競合会社のコンテンツや政治的に受け入れられないサイトの通信速度を意図的に遅くするといった差別化も起こりうる。

2015年の規制では、インターネット・サービス・プロバイダ(ISP)と呼ばれる通信会社が、「コモン・キャリア」というカテゴリーに分類されたことが大きな特徴だ。コモン・キャリアとは、公共的な意味を持つインフラと同意である。ガス、水道、電気などが誰にとっても基本料金が同じで利用者を平等に扱っている、それと同じ規制を通信会社に課したのである。古くは、鉄道や船を対象に用いられた用語だ。

規制が撤廃されると実際どうなるのか

ところが、FCCのパイ新委員長は就任以来、「1930年代の考え方を、現在のブロードバンドに適用するのは間違い」と述べ、ネット中立性規制のせいで、通信会社は十分な設備投資を行うことができなかったと説明してきた。また、規制撤廃はするが、「ゼロ規制にするのではなく、規制をライトタッチにするだけ」とも言う。

共和党は小さい政府を目指し、政府による規制を最小限化しようとするプロビジネス派だ。加えて、オバマ大統領時代の規制を何かと潰しにかかっているトランプ政権下では、撤廃となれば大きな手柄だ。

そればかりか、パイ委員長はFCCに移籍する前は通信会社大手ベライゾンの弁護士を務めていた。規制撤廃が古巣への大きなプレゼントになることは間違いない。ベライゾン、AT&T、コムキャスト、コックス、チャーター、センチュリーリンクなどの通信会社は、今回の撤廃案を、もろ手を上げて歓迎している。

ネットの中立性が保護されなくなれば、先述したようなえこひいきや、料金高騰が予想されるだけでなく、スタートアップが成功するイノベーションの環境も危うくなる。資金がなければ、ネット回線を十分に利用できなくなるからだ。

これまでは資金に乏しいスタートアップでも、アイデアと開発力で何百万人もの利用者を集めるサービスを打ち立てることが可能だった。だが、中立性がなくなれば、ビジネスの既成権力が環境を牛耳って参入障壁が高くなり、そんな奇跡は起こりにくくなるだろう。

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