飲むお酒のタイプによって、人の性格に及ぼす影響が変わってくる、という調査結果も最近、明らかになり、話題を呼んでいる。11月21日にイギリスの専門家が、「Global Drug Survey」の結果を基に世界21カ国、約3万人のデータを解析して導き出した研究だ。
蒸留酒は「やる気が出る」「自信ができる」
その結果によると、飲むアルコールの種類によって表出する感情が異なり、特に蒸留酒(スピリッツ=ウィスキー、ウォッカ、ブランデー、テキーラなど)は「やる気が出る」「自信がつく」などと回答した割合が約6割と高い水準で、「攻撃的になる」という回答も30%とほかの酒類に比べ非常に高かった。これは、赤ワインの10倍、ビールの4倍以上の水準だ。

逆に、赤ワインやビールは「リラックスする」という効果が高かったが、蒸留酒は20%と低かった。また、酒を飲んでも、女性は男性より攻撃的になりにくく、アルコール依存症の場合は攻撃性がより高くなることもわかった。
この研究では、酒を飲む人は、自分の求める感情効果によって、無意識のうちにアルコールの酒類を選んでいる可能性があるとしている。たとえば、蒸留酒の場合は、そのネガティブ効果にもかかわらず、「やる気」「自信」「セクシー」などといったポジティブ効果を欲して、求めてしまうところがあるというのだ。特に、酒豪の場合にこの傾向が強いという。
一緒にお酒を飲んだ記者などの記事によると、日馬富士はモンゴルウォッカや芋焼酎などスピリッツを好んで飲んでいたという。まさに上記のような気分を味わいたい、と知らず知らずのうちに欲していたのかもしれない。2016年の時事通信の「大相撲古今酒豪番付」によると、日馬富士は現役では3指に入る酒豪だったようだ。
「酒のトラブルで引退に追い込まれた朝青龍に、飲みすぎを注意されたほどの酒好き。3時間で3升半飲んだこともあるといわれ、酒では白鵬をしのぐ。優勝すると千秋楽には朝まで飲むらしく、一夜明け記者会見では目が真っ赤。師匠の伊勢ヶ濱親方(元横綱旭富士)は現役時代、内臓疾患に苦しんだ。日馬富士も30歳になり、軽量横綱だけに、酒との付き合い方も考える時期に来た」と、まさに警鐘を鳴らされていたわけだが、最悪の結果となってしまった。
厚生労働省が2013年に行った調査によると、アルコールの国内総消費量が減少傾向をたどっているにもかかわらず、依存症の患者数は推計で109万人となり、10年前と比べ29万人も増加していた、深刻な結果だが、欧米などに比べ、学術的な研究もあまり行われておらず、治療体制も未整備との声もある。「お相撲さんは酒飲みだから」という定説もあり、相撲界も、力士の飲酒を大目に見てきたところがあったのだろう。
しかし、「酒に酔って」などという弁解はもう許されない。「国技」とうたうのであれば、力士の品行と酒について、しっかりと検証し、酒との適正な向き合い方などを再考していく必要があるのではないだろうか。
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