「逃げ恥」「半沢直樹」の続編が決まらない理由 大ヒットドラマほど脚本も演者も悩ましい
さらにさかのぼると、2009年の「MR.BRAIN」(TBS系)、2007年の「華麗なる一族」(TBS系)、2006年の「西遊記」(フジテレビ系)、2004年の「白い巨塔」(フジテレビ系)、2003年の「GOOD LUCK!!」(TBS系)、2000年の「Beautiful Life」(TBS系)、1998年の「GTO」(フジテレビ系)、1996年の「ロングバケーション」(フジテレビ系)、1995年の「愛していると言ってくれ」(TBS系)、1992年の「愛という名のもとに」と「素顔のままで」(フジテレビ系)、1991年の「東京ラブストーリー」と「101回目のプロポーズ」(フジテレビ系)など、その年の話題をさらった作品はリメークこそありますが、続編は制作されませんでした。
「話題性があるうえに高視聴率が見込める」などテレビ局にとってはドル箱コンテンツのはずなのに、なぜ大ヒット作ほど続編が制作されないのでしょうか。「ヒット商品の続編・シリーズ化」というビジネスシーンに置き換えながら、その理由を挙げていきます。
テレ朝ドラマの“定番商品”戦略
真っ先に挙げられる理由は、作品のコンセプトとプロット(あらすじ)。もともと続編を視野に入れたコンセプトとプロットでなければ、「無理して作ることになってしまう」「頑張っても第2弾はトーンダウンするリスクが高い」という懸念を抱えることになります。
特に社会現象になるような大ヒットドラマは、「ワンクール(3カ月間)ですべて出し尽くす」というスタンスで脚本・演出を凝縮。起承転結の“結”までをしっかり描き切るため、スタッフもキャストも「これ以上のものは作れない」と感じるものです。
これはドラマの話に限りません。大ヒットするような新商品は、企画、マーケティング、研究、開発、検証などを重ね、「これ以上のものは作れない」という、いわば“自社ベスト”。すぐに「それを上回る派生商品やシリーズ商品を作れ」と言われても、簡単にはいかないのと同じなのです。
ただ、もともと続編を視野に入れたコンセプトとプロットのドラマなら、何の問題もありません。なかでも、テレビ朝日が手掛ける刑事・医療ドラマは、企画の段階からシリーズ化を目指す“定番商品”狙い。「相棒」「科捜研の女」「ドクターX~外科医・大門未知子~」などの長期シリーズは、少しずつ味を変えて定番商品を売り続けるスナック菓子と似たビジネススタイルなのです。
もともとテレビ朝日は、「シリーズ化できるドラマを作って長期放送する」という手堅いコンセプト。上記3作以外にも「遺留捜査」「刑事7人」など、プライムタイム(19~23時)で放送するほとんどのドラマをシリーズ化しています。
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