広がる「官製婚活」、成果は出ているのか? 自治体の婚活支援は活況だが、課題も多い

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「移住婚ツアー」も展開する。都市圏の女性と地方圏の男性との出会いを作るための婚活ツアーで、2015~2016年度合計で男性368人、女性341人が参加。カップル成立率は52%で、すでに6組のカップルが成婚・移住した。ツアーに当たっては男女とも事前セミナーを実施。都市圏の女性には地方で結婚や子育て、仕事をすることについて考えるきっかけにしてもらおうと、各地域の情報や移住例を紹介する。

今年9月に北海道で実施した「ミライカレッジとうや湖」には北海道と首都圏の独身男女が参加し、洞爺湖でカヌーを楽しんだ(写真:ツヴァイ)

地方圏の男性には、地域の魅力を伝える方法や女性との会話の進め方、服装などを指導する。今年9月に北海道で実施した「ミライカレッジとうや湖」では、首都圏から参加した女性からは「共同作業で男性の人柄を知れてよかった」「初めての体験が多くて楽しかった」など、男性側からは「地元をPRする機会があったのがよかった」との声が出たという。

婚活支援も国の補助金対象に

自治体が行う婚活支援の取り組みは拡大の一途だ。共同通信社が今年行った調査によると、すでに全都道府県が婚活支援事業を実施。市区町村単位でも半数超が取り組む。この背景には、「出産・育児の前にまずは結婚を」という安倍晋三政権の少子化対策もある。2013年度補正予算で地域少子化対策強化交付金(30.1億円)が創設され、婚活支援も国の補助金の対象となった。以後、予算が継続され、2016年6月に閣議決定された「ニッポン一億総活躍プラン」に「結婚支援の充実」が盛り込まれると、2016年度補正予算では過去最大の40億円が計上された。

自治体の婚活支援事業には、セミナーやイベントの実施、情報提供、ボランティアによる結婚相談、システムあるいは人手によるマッチングなどがある。総合窓口として支援センターを設置している自治体も多い。

茨城県は国の取り組みよりも早く、婚活支援事業を開始。2006年に開設した「いばらき出会いサポートセンター」が中核となって事業を推進する。お見合いの世話をするボランティアを「マリッジサポーター」として育成し、今や約1000人に達している。サポートセンターにはマッチングを希望する男女約2600人が登録。2016年末時点での成婚数は累計約1700組に上る。

茨城県の場合、サポートセンターに入会登録料として1万0500円を払うと、3年間マッチングサービスを利用できる。民間の結婚相談所では初期費用が10万~20万円、月会費が1万~1.5万円程度かかる。「成功報酬」として成婚料を取る相談所もある。それに比べれば、自治体のマッチングサービスは格安だ。自治体主催なら婚活イベントの参加費も安い。前述した九州・山口県合同イベントの参加費は500円だった。

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